トランプの仕掛けた貿易戦争、中国企業に長い影 おもちゃから幹細胞培養ロボまで
拡張計画の見直しも
影響を懸念しているのは北科生物だけではない。
中国の医療機器、衣料品、製造業、鉄鋼、印刷分野における企業幹部にインタビューしたところ、広い範囲で貿易戦争の脅威が広がっていることが裏付けられた。
すでに目に見える影響に直面し、米国からの受注減少を受けて他国向け輸出にシフトしたり、あるいは工場拡張計画を中止したりする企業が出ている一方で、残る企業も貿易戦争の脅威がもたらす先行き不透明感に頭を悩ませている。
中国国営メディアは4日、貿易戦争を回避する合意に達することは容易ではないと指摘。「もし失敗すれば、激しい関税合戦の幕が上がり、グローバル貿易は混乱に陥るだろう」と警鐘を鳴らした。
影響を受けるであろう企業には、中国東部の河北省滄州にある河北華洋鋼管も含まれる。貿易摩擦が強まる中で、石油、ガス、水などを輸送するための金属管を製造する同社では、ここ数カ月受注が途切れているという。通常は製造から顧客向け出荷までに3カ月かかる。
米国のバイヤーが、制裁措置が実際に発動された場合に追加的な輸入関税を払うことを憂慮している、と同社の営業担当マネジャー、スティーブン・ユー氏は同社の製造工場で語った。
「今年は米国事業を拡大する計画を立てていた」とユー氏は言う。また、新たな関税政策が発動されることを想定して、米国市場向けの計画の調整を同社が検討していると語った。
貿易戦争が生じても、米国バイヤーがどこかから金属管製品を購入する必要があることに変わりはない。関税を避けるために第三国の仲介業者に製品を販売し、その後米国向けに出荷する「積み替え」が増える可能性が高い、とユー氏は予想する。
南部都市の東莞では、東莞ワゴン集団が高級ブランド向けの金属アクセサリーや国際サッカー連盟(FIFA)公認パートナー企業として製造するサッカー関連商品の米国向け販売が不振に陥っている。だが、これは必ずしも米中貿易紛争とは関係していない。
「米国がワールドカップの出場権を得られなかったことで、予想される売上げは、われわれの試算よりも約60─70%低くなっている」と東莞ワゴンのペリー・チョウ副社長はロイターに述べた。
とはいえ、他の事業分野には貿易摩擦の打撃が及ぶだろうと同副社長は語った。