インドネシアの警察拘置所で暴動 イスラム国が犯行声明、警官5人死亡
3人は今回暴動が発生した国家警察機動隊本部や地元警察署を爆弾テロの標的として計画を進めていたとされている。
このため警察は3人が機動隊本部の拘置所付近で爆弾テロを実行し、それに呼応する形で拘置所内のテロ関連の容疑者らが騒乱を起こす「連携作戦」だった可能性も視野に入れて捜査を進めている。
国家警察は「銃などの武器による強制的な鎮圧にはまだ踏み切っていない。あくまでソフトな事態収拾を目指している」としているが、実際に機動隊本部で何が起きているのか、情報が不足してはっきりしていないのが現状だ。
服役中のアホック前知事の安否は......
同拘置所には「イスラム教冒涜」の罪で禁固2年の判決を受けたジャカルタ特別州のバスキ・チャハヤ・プルナマ(通称アホック)前知事が特別措置で服役している。今回の暴動でアホック前知事の安否が懸念されていたが、9日午後に家族が無事を確認したことをネットで明らかにした。
インドネシアでは6月末の統一地方首長選挙、来年の大統領・国会議員選挙に向けて社会情勢が不安定化している。さらに5月16日前後からは国民の89%を占めるイスラム教徒にとって重要な行事「断食(ラマダン)」が始まることもあり、騒然とした空気に満ちている──。
[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など