金正恩、習近平を再び利用か──日本は漁夫の利を待て
そして米朝首脳会談において北朝鮮に有利になるように、今度はまたもや「俺の背後には中国がいるんだぜ」とアメリカに見せて、米朝首脳会談を北朝鮮に不利にならないように持っていこうという算段にちがいない。
金正恩の外交の仕方は、したたかなようで、やはりどこか「子供じみて」いる。
核・ミサイルによる威嚇などの恐怖路線を続けておいて、いきなり対話路線に切り替えれば、周辺諸国は競ってその対話路線に乗ろうとする。中朝が対話に入って中朝蜜月をアメリカに見せつけた段階で、今度は「中国外し」を目的とした「3者会談」を提起する。
そこで中国が北への見せしめに対日微笑み外交を始めて「習近平・安倍」電話会談などをすると、中国を引き戻そうと中国を再訪するなど、「節操がない」と言っていいほどの「ゆさぶり」だ。「したたかさ」という言葉が必ずしも適切ではないと思わせる動き方である。
「圧力が効いたから」は文在寅のトランプへのお世辞
そもそも「アメリカの圧力が効いたから、南北は対話路線に入ることができる」と言い始めたのは韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領だ。
今年1月14日、北朝鮮との南北対話について文在寅大統領が「アメリカのトランプ大統領の貢献が大きい」と発言した。それは日米韓で対北朝鮮包囲網を形成し、圧力と制裁によって北の核・ミサイル放棄を目的として行動している最中に、「北と対話などという融和策に出るとは何ごとか!」とトランプが文在寅を非難した時のことだった。
文在寅は何としても北に平昌冬季五輪に参加させて南北対話に持っていこうとしていた。
しかしトランプに非難された文在寅は、「北朝鮮が対話路線へ転換しようとしているのは、アメリカのトランプ大統領の貢献が大きい」という趣旨のことを言ったのである。最初「トランプ大統領の貢献が......」と言って、その直後に「あ、いや、国連の......」と訂正してはいるが、この言葉はいたくトランプを喜ばせた。
「その通りだ!この俺様が圧力を強化したからこそ、北朝鮮は折れてきて対話と言い始めたのだ!」とばかりに、トランプは喜びを露わにした。