最新記事

米朝首脳会談

金正恩の人物像に迫れ 首脳会談控えプロファイラー情報戦の内幕

2018年5月5日(土)19時29分

4月26日、冷戦以降で最も重要な首脳会談の1つとなる米朝首脳会談でトランプ米大統領が優位に立てるよう、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長(写真)のプロファイル構築に米政府の情報専門家は取り組んでいる。写真は、握手を交わすポンペオCIA長官と金氏。米政府提供(2018年 ロイター/U.S. Government via REUTERS )

冷戦以降で最も重要な首脳会談の1つとなる米朝首脳会談でトランプ米大統領が優位に立てるよう、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長のプロファイル構築に米政府の情報専門家は取り組んでいる。

だが、ほとんど素顔が知られていない閉鎖的な北朝鮮の指導者が、どのような人物かを解明する作業は難航している。

外国指導者に関する政治的・心理的な研究を、重大な交渉を控えた米大統領に提供するという昔からの伝統に従い、政府専門家は金委員長に対する新たな情報を可能な限りかき集め、これまで得た評価の軌道修正を行っている。米当局者がロイターに明らかにした。

数週間前にトランプ政権で初めて金委員長と会談したポンペオ中央情報局(CIA)長官が同氏に抱いた印象も、手がかりとして参考にされる。平壌を非公式訪問した次期国務長官ポンペオ氏は帰国後、北朝鮮の若き指導者について、首脳会談に向けて「準備している抜け目ない人物」との個人的な評を下したと、ある米当局者は語った。

このほか、米プロバスケットボール協会(NBA)の元スター選手、デニス・ロッドマン氏や、スイス寄宿学校時代の元クラスメート、韓国の外交官など、過去に金氏と交流した経験がある人物たちの証言によって集めた情報も検討されると、別の米当局者たちは語る。

こうして集めた情報によって、金委員長の行動や動機、人格や指導スタイルについての政府機密ファイルが更新され、史上初となる米朝首脳会談に向けてトランプ大統領や側近が交渉戦略を立てる一助となる。

「(米朝)首脳会談に向けて、政府一丸となって準備を進めている」とホワイトハウスの当局者は述べたが、詳細は明らかにしなかった。首脳会談の開催時期は5月下旬または6月初旬で調整されている。

とはいえ、金委員長に関する直接的な情報は依然として限られており、「ブラックボックス」状態だと、事情に詳しいある米当局者は話す。北朝鮮には米情報員や情報提供者がほとんどおらず、インターネットが普及していない同国ではサイバースパイ活動も困難だからだ。

正恩氏が権力の座に就いたとき、長くは続かないだろうとCIAは予測していた。だがそれから7年後、そうした予想は撤回され、今では、非情なやり手の指導者だと見られている。最近では、核開発を遂行する強硬姿勢から外交的アプローチへと転換した金氏の機敏さに、米専門家の多くが驚かされた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア新型ミサイル攻撃、「重大な激化」 世界は対応

ビジネス

米国株式市場=上昇、ダウ・S&P1週間ぶり高値 エ

ビジネス

NY外為市場=ドル1年超ぶり高値、ビットコイン10

ワールド

再送-ゲーツ元議員、司法長官の指名辞退 買春疑惑で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中