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感染症致死率75%、ワクチン未開発の「ニパウイルス」、インドで感染拡大の可能性
致死率は75%の「ニパウイルス」は、コウモリやブタとの接触を通じて感染する CraigRJD-iStock
<インド南部ケーララ州で、致死率は75%の「ニパウイルス」の感染が確認され、これまでに10人が死亡した>
インド南部ケーララ州で、致死性が高く現在までワクチンが開発されていない「ニパウイルス」の感染が確認され、これまでに10人が死亡した。USAトゥデイ、CNNなどが報じている。
ニパウイルスとは
国立感染症研究所の説明によると、ニパウイルスは1997年〜1999年にマレーシアの養豚場労働者の間で急性脳炎が流行した際に、病原体として初めて確認された新種のウイルス。
ニパウイルスは人間、コウモリ、ブタとの接触を通じて感染する。感染した患者には、急な発熱、頭痛、めまい、嘔吐などの急性脳炎の症状が現れる。これまでワクチンは開発されておらず、治療は対症療法に限られる。
ニパウイルスは21世紀に入ってからもアジアで散発的に流行している。世界保健機関(WHO)の統計によると、2001年〜2012年の間にインドとバングラディシュで計280件の感染例が確認され、211人が死亡。致死率は75%となっている。
ケーララ州の状況
報道によると、ケーララ州の保健当局は5月22日、ニパウイルスに感染した患者のうち少なくとも10人が死亡したと発表。死者との接触があった90人以上を隔離したが、ほかにも発熱などの症状が出た患者数百人が病院に殺到しているという。
同州政府はWHOなどに報告し、感染拡大を防ぐため専門家チームの派遣を要請した。
隣州でも感染の疑いがある患者が隔離
感染はケーララ州を越えて広がっている可能性がある。ニュー・インディアン・エクスプレスの記事によると、ケーララ州に隣接するカルナータカ州のマンガロール市で、ニパウイルスに感染した疑いのある患者2人を隔離したという。
そのうち1人は20歳の女性で、今回の流行で看護師が死亡したケーララ州コーリコード市の病院を訪れ、当該看護師と接触していた。もう1人は75歳の男性で、旅行の履歴はないが、両者とも発熱や頭痛の症状があるという。カルナータカ州当局は、2人を隔離し、血液サンプルを分析に回したと説明している。