中国、調査研究の投資拡大で「技術革新大国」に王手 特許申請で米国を猛追
4月13日、中国は調査研究(R&D)投資や高度教育制度の拡大によって知的財産権の所有で急速に米国を追い上げ、世界一の技術革新大国の座を奪う勢いを見せている。北京で2017年11月撮影(2018年 ロイター/Damir Sagolj)
中国は調査研究(R&D)投資や高度教育制度の拡大によって知的財産権の所有で急速に米国を追い上げ、世界一の技術革新大国の座を奪う勢いを見せている。
トランプ米大統領は中国が知的財産権を盗んでいるとして中国製品への高関税をちらつかせているが、潮流は変わりそうにない。
中国が何年後に米国に追いつくかの予想は分かれるが、複数の特許専門家は10年以内と見ている。
法律事務所アレン・アンド・オベリーの中国知的財産権責任者、デービッド・シェン氏は「中国は毎年大勢の科学者を育てているため、米国の出方に関わらず、最終的には追い付くだろう」と話す。
法律専門家によると、習近平国家主席が10日、知的財産の保護を強化すると述べたことも自信の現れだ。通信やオンライン決済では既に世界をリードしている上、他分野でも追い付けると見ているのだ。
世界知的所有権機関によると、中国の特許申請数は昨年13.4%増え、日本を抜いて世界第2位となった。このペースが続けば、わずか1年で首位の米国を追い抜く。
中国の国内総生産(GDP)に占めるR&D投資額の比率は2.1%と、1990年代の3倍に増え、米国の2.75%には及ばないものの、世界経済協力機構(OECD)加盟国の平均2.35%に近付いている。
世界銀行のデータによると、中国は人口100万人当たり1177人のR&D研究者を生み出している。これは90年代の3倍で、世界平均に並ぶ。米国はこの数が4321人だが、中国の人口は米国の4倍なので、絶対数では中国が余裕で上回る。
しかも中国の研究者数は増加の一途をたどりそうだ。国連教育科学文化機関によると、中国は中等教育を受けた人の40%がさらに上の「第3期教育」に進んでいる。米国に比べると比率は半分だが、1970年代の0.1%に比べると驚異的な増え方だ。
JPモルガン・アセット・マネジメントでアジア新興国市場担当の最高投資責任者を務めるリチャード・ティザリントン氏は「5、10年後を見据えれば、技術革新、特にオンライン・プラットフォーム、デジタル・イノベーション、機械学習、人工知能の分野で米中がほぼ肩を並べているだろう」と見る。