最新記事

宇宙旅行

ヴァージンの「スペースシップツー」、飛行試験を再開で宇宙旅行に一歩前進

2018年4月13日(金)17時20分
鳥嶋真也

ロケットエンジンを噴射して飛行する、ヴァージン・ギャラクティックの宇宙船「スペースシップツー」 (C) Virgin Galactic/MarsScientific.com & Trumbull Studios

リチャード・ブランソン氏率いる宇宙企業ヴァージン・ギャラクティックは2018年4月5日、開発中の宇宙船「スペースシップツー」のロケットエンジンを使った試験飛行を再開し、成功したと発表した。

スペースシップツーのロケット飛行は、2014年に同型機が墜落事故を起こして以来、約3年半ぶり。事故を乗り越えた同社は、宇宙旅行の実現に向けて大きな一歩を踏み出した。

スペースシップツーとは?

スペースシップツーは、宇宙旅行の実現を目指し、ヴァージン・ギャラクティックとその姉妹会社が開発を進めている宇宙船。最大6人の乗客を乗せ、高度100kmの、一般的に宇宙と呼ばれる領域まで飛行することができる。乗客は短時間ながら、窓から青い地球や真っ暗な宇宙を眺めたり、微小重力(いわゆる無重力)状態の中で宙に浮いたりといった体験を味わうことができる。

機体は矢じりのような特徴的な形状をしており、母機となる飛行機に吊るされ、上空約1万5000mまで運ばれる。そして飛行機から分離された後、ロケットエンジンを噴射し、宇宙空間まで一気に駆け上がる。宇宙に到達したあとは、グライダーのように降下し、出発地と同じ飛行場に着陸。整備を経て、次の飛行を行う。

スペースシップツーは2010年に1号機が完成し、このときは2014年にも宇宙旅行が始まる予定だった。

しかし、開発や試験を続ける中で、ロケットエンジンの設計を変える必要が生じたり、母機の機体に亀裂が入っていることが発覚したりとトラブルが相次いだ。さらに2014年11月には、1号機が飛行中に空中分解して墜落。搭乗していた2人の飛行士のうち、1人が死亡、もう1人も重傷を負う大惨事が起き、計画は大幅に遅れた。

torishima002.jpg

母機に搭載されて上空まで運ばれるスペースシップツー (C) Mark Greenberg/Virgin Galactic

3年半ぶりのロケット飛行再開

その後、事故の原因調査とそれを受けた改良を経て、2016年に2号機を建造。この2号機には、先ごろ亡くなった宇宙物理学者のスティーヴン・ホーキング博士によって「VSSユニティ」(調和や団結といった意味)という名前が与えられた。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 6

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 9

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 10

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 8

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中