トランプの仕掛けた対中貿易戦争、日本にとっては「漁夫の利」か
4月4日、トランプ米大統領が打ち出した中国への通商制裁措置は、同じく同氏が貿易面の行動を強く批判するメキシコや日本の製品が米国市場でシェアを拡大する道を開く可能性がある。写真は中国の上海洋山深水港で2016年9月撮影(2018年 ロイター/Aly Song)
トランプ米大統領が打ち出した中国への通商制裁措置は、同じく同氏が貿易面の行動を強く批判するメキシコや日本の製品が米国市場でシェアを拡大する道を開く可能性がある。
米通商代表部(USTR)が3日公表した約1300種類の中国製品に対する追加関税品目案によると、これらの品目に25%の関税が実際に課せられた場合、価格競争で有利となって代わりに市場に出回るとみられる製品を供給しているのが、メキシコやタイ、日本などだ。
例えばメキシコは既にフラットテレビの対米輸出額がおよそ60億ドルと中国の2倍に上り、タイの対米ハードディスクドライブ輸出額も35億ドルで中国の4倍前後に達する。
また日本、マレーシア、ベトナムは米プリンター部品市場で中国のライバルとなっている。
米国の輸入が中国製品からこれらの国の製品に一朝一夕に切り替わることはない。米政府がリストアップした追加関税品目は今後撤回されてもおかしくない。もしも一部のアナリストが推察するように、トランプ氏の狙いが幅広い通商問題に関して中国の交渉の場に引き出して決着をつける狙いがあるというならばだ。
USTRは追加関税品目リストを作成する際、意図的に別の国から手に入れられる製品を対象にした。それによって中国の輸出に及ぼす打撃を最大化しつつ、米国民が被る痛みをできるだけ和らげようとしている。USTRのある当局者はロイターに「品目リストは、候補製品の中から消費者への悪影響が最も小さいものが選び抜かれて構成されている」と説明した。
元USTR副代表のロバート・ホリーマン氏は品目リストについて、どこの国からかにかかわらず米国向けの輸入を完全に抑え込むのではなく「ある面では時間をかけてサプライチェーンが切り替わるのを容認する意図を持っていると思う」と話す。
ホリーマン氏は、追加関税の行使が農業や航空宇宙といった米国の重要産業にリスクをもたらすものの、トランプ政権は慎重に影響を分析し、米国の消費者が受ける直接的なダメージを最小化しようとしているとの見方を示した。