アトランタの基幹システム、サイバー攻撃で「人質」に 紙と電話が頼みの綱
裁判所や水道局など、市の施設における一部サービスの中断を招いた公表された機能停止以外に、どの程度の損害が生じているのかについて市当局者は説明を拒んでいる。
アトランタ都市圏の人口は600万人近い。米国勢調査局の最新データによれば、ジョージア州の州都であるアトランタ市本体だけで45万人以上が暮らしている。
市職員がロイターに語ったところでは、警察や財政関係のファイルが正体不明のハッカーによりアクセス不能になっており、ハッカーはファイルの暗号化を解除するデジタルキーと引き替えに5万1000ドル(約540万円)相当のビットコインを要求しているという。
パソコン情報のバックアップ・サーバーにどの程度の障害が起きているのか、また、どのようなデータが「身代金」の支払いなしには復旧できないかという点について、市当局者は明言を避けている。
アトランタ市庁舎の壮麗な高層ビルにあるオフィスでは、市監査役のアマンダ・ノーブル氏が「ハードディスクの中身がすべて消えた」とため息をつく。
彼女が異変に気づいたのは3月22日だった。コンピューターを起動すると、「SamSam」と呼ばれる強力なコンピューターウィルスによってファイルが暗号化されており、開けなくなっていた。ファイル名も同ウィルスによって意味不明のものに変えられていた。
「『何かが変だ』と私は告げた」
市職員がすぐに彼女のオフィスに駆けつけ、コンピューターの電源を切るように告げてから、館内に注意喚起を触れ回った。
ノーブル氏は現在、個人用のノートパソコンで仕事を進め、そこに保存されていた電子メールに書かれてあった進行中のプロジェクトの詳細については、スマートフォンを使って調べているという。
全てのコンピューターがウィルスに感染したわけではない。ノーブル氏によれば、監査室にある18台のうち、10台は無事だった。