河野発言、中国に思わぬ一撃か?
2.さらにストレートに言ってしまうと、トランプ大統領が国務長官や大統領補佐官など、自分の周辺を対北朝鮮強硬派で固めたことを指しており、中朝首脳会談があり、まもなく南北首脳会談が行われようとしている現在に至ってもなお、中国が反対する武力的な解決につながる米韓合同軍事演習を実施していることを指している。
また、「38ノース」が「北朝鮮の核実験場では、過去数カ月に比べて活動は大幅に減少している」と公開しているというのに、日本の河野外相が「活発化している」という趣旨の発言をしたことを指しているのである。
その証拠に、次に述べるように、中国外交部報道官は「河野外相」と名前をこそ明示しなかったものの、他の質問にかこつけて河野発言を非難している。
3.その前に "双軌併進" とは何かを、ご説明しなければならない。
このフルネームは「半島非核化と停和構想転換"双軌併進"」というもので、もっと分かりにくくなるかもしれない。しかしこれは今年3月に入ってからの中国の朝鮮半島問題解決の基本戦略として新たに出てきた言葉なので、正しく理解しておく必要がある。
「半島非核化」は日本人でもわかる。
つぎに「停和」とは「朝鮮戦争の停戦協定と、その後に来るべき和平(平和)条約」のことを指す。「停戦」の「停」と「和平」の「和」が「停和」である。「現在の状況を、1953年の停戦協定を遵守する状況に引き戻し、朝鮮戦争の平和条約を締結すべきだ」というのが、現在の中国の主張だ。
つまり「朝鮮半島非核化」と「朝鮮戦争の停和構想」への転換という「二つの軌道を同時に並行して進めていく」というのが「双軌併進」なのである。
中国はこれまで「双暫停(米朝双方ともが暫時、軍事行動を停止し、対話のテーブルに着け)」を、朝鮮半島問題解決のための基本戦略としてきたが、平昌冬季五輪開催期間中に北朝鮮が参加し、同時に米韓合同軍事演習が「暫時」停止されたことを以て、中国の主張が聞き入れられ、「中国の外交勝利だ」とみなしていることから、"双軌併進"戦略に切り替えたとしている。
中国外交部報道官、河野発言を批判
中国外交部の耿爽報道官は4月3日の定例記者会見で、河野発言に関して批判した。この日の記者会見の主たるテーマは、北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相の訪中だった。李容浩外相は訪露(と思われる)の前に北京に立ち寄って王毅外相と会談している。耿報道官は、「河野外相」と名指しは避けたものの、日本の自衛隊の問題に関して質問されたにもかかわらず、自ら突如、以下のようなコメントを付け加えた。