キューバ、新議長が就任 革命精神維持と経済近代化の両立は可能か
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4月19日、社会主義国キューバの国家評議会議長(元首)に就任したミゲル・ディアスカネル氏(左)は就任演説で、1959年のキューバ革命の精神は守り続けていくが、経済の一層の近代化も必要だと強調した。ハバナの国会議事堂で撮影(2018年 ロイター)
社会主義国キューバの国家評議会議長(元首)に就任したミゲル・ディアスカネル氏は19日の就任演説で、1959年のキューバ革命の精神は守り続けていくが、経済の一層の近代化も必要だと強調した。
ディアスカネル議長は「国民から与えられたのは、この極めて重大な時期に革命を継続せよとの負託だ」と述べた。また、2021年まで共産党トップの第1書記の座にとどまる前任のラウル・カストロ氏の功績を称え、同氏は引き続き改革のリーダー役であり、重大な決定には関わっていくと強調した。
カストロ氏は壇上で退任演説をし、リラックスしながらも引き続き影響力を誇示する姿勢を見せた。また、米トランプ大統領について「今の大統領になってからキューバと米国の関係は意図的にひっくり返され、攻撃的で脅すようなやり取りが蔓延している」と述べ、米国の貿易や移民政策を厳しく批判した。
両国は2014年にカストロ氏とオバマ前政権が国交回復で合意、キューバでは米国からの投資や観光客が増加していた。ただ、トランプ政権になってからはキューバ国営企業との商取引停止や米国人の渡航禁止を打ち出したほか、ハバナ駐在の米外交官らで謎の体調不良問題が起きたことから、関係が悪化していた。
ディアスカネル議長は、キューバの外交政策は妥協はしないものの、対等に向き合える相手であれば対話する用意はあると述べた。
米キューバ間の緊張緩和につながった極秘交渉についての共著があるウィリアム・レオグランデ氏はこの発言について「キューバ首脳は引き続き、米国との関係改善に重きを置いていることを示している。ただし、次の大統領登場を待つことになるかもしれないが」と評した。
米政府高官は、従来路線を継承するリーダーの下では、キューバ国民の自由拡大は期待できないと強調した。
ディアスカネル新議長の課題は、社会主義政策の維持と改革のバランスをどのように保ち、経済改善を求める若い世代を納得させていくかだ。
議長は、資本主義への転換はないと誓い、新体制の特徴は「経済と社会体制の近代化」だと強調したが、詳細については触れなかった。