森友問題、佐川喚問は証言拒否で疑惑解明にほど遠く 今後は世論次第
大和証券・シニアストラテジストの石黒英之氏は「佐川氏の証人喚問での発言内容を(市場は)好感している。(財務省の決裁文書改ざんについて)首相や首相夫人の関与を否定し、国内の政治不安がいったん後退した」と述べている。
また、経済同友会の小林喜光代表幹事は27日の会見で、森友問題だけでなく「国会は問題が山積している」と指摘。働き方改革や財政再建問題などを森友問題と並行して議論すべきとの見解を示した。
他方、野党側は、佐川氏が核心部分で証言を拒否し、真実の追及ができなかったとし、昭恵氏に加え、迫田英典・元国税庁長官、武内良樹・財務省国際局長、夫人付職員だった谷査恵子氏の証人喚問を要求した。
与党側は回答を留保したが、野党の要求を当面、拒否するとみられている。また、ある政府関係者は「4月以降は予算委がないことから、今のように連日追及する場がなくなり、いったん凪(なぎ)のような状態になるだろう」と、政府・与党への圧力がいったん緩和するだろうと予測する。
ただ、与党関係者とその周辺では、大阪地検特捜部が財務省決裁文書の改ざん問題で強制捜査に乗り出したりすれば、「一件落着」どころか、政府への逆風が一段と強まるとの懸念もくすぶる。
財務省内の調査は、大阪地検の捜査の状況をにらみつつ、捜査が終結した後に取りまとめる方向。一部の関係者の間では、4月下旬から5月上旬にかけた大型連休前後がメドになるとの見方がある。
また、処分対象者が理財局内にとどまらなければ「麻生財務相の進退も問われる」(与党周辺)との指摘も少なくない。
「一件落着」か「逆風加速」──。その動向を大きく左右するのは、世論の動向だという見方が与党関係者の中に広がっている。
世論の風向き次第では、安倍首相が重要法案と位置づける働き方改革の関連法案の成立が危ぶまれる事態もあり得そうだ。
与党の国対関係者によると、例年、4月末の大型連休が始まる前に法案が衆院を通過していないと、通常国会での法案成立は「赤信号」が点灯しかねない。
マーケットは楽観論が支配しているものの、対照的に永田町では緊張感が増す展開もありそうだ。
(ポリシー取材チーム 編集:田巻一彦)
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