就職難の韓国、人手不足の日本──日本での就職を後押しする韓国政府
韓国の若者はかつてない就職難に見舞われている Kim Hong-Ji-REUTERS
<就職難の韓国と求人難の日本の財界が協調し、日本で就職する韓国人がはじめて2万人を超えている>
韓国の若者はかつてない就職難に見舞われている。「災難」とも表現されるレベルで、その対策として韓国産業人力公団や韓国貿易協会、雇用労働部など韓国の政府機関が日本の人材紹介会社と協力して、韓国の若者の日本就職を推進。2017年には就業ビザを得て日本で就職した韓国人は、はじめて2万人を超え2万188人に達している。
2月の韓国の失業率は4.6%で前年2月の4.9%をわずかに下回り、15歳から29歳の公式な青年失業率も9.8%で前年第4四半期を下回った。しかし、2月に受付が行われた9級公務員試験の受験者が失業者から除外されていることから、就職準備者や就職断念者を含む実質的な失業率はより高いとみられている。
日本での就職が注目されている
韓国内での就職は困難とみて、海外に目を向ける若者が増えており、なかでも日本の就職が注目されている。韓国から近く、質の良い仕事が多いことに加え、外国人を受け入れる環境にあるからだ。
日本の2018年1月の有効求人倍率は1.59倍で、失業率は自然失業率3%を下回る2.4%となっている。海外事業の拡大と人口減少などが重なって、経済界は日本人だけで需要を満たすことは難しいとみる。
日本の就職を支援する「日本海外就業戦略説明会」が2018年3月23日にソウルのCOEXで開催されたが、3回目となる今回はおよそ800人の参加申し込みがあり、関心の高さがうかがわれた。
日本大使館の羽鳥公使が日本の若者の雇用状況について講演し、続いてマイナビコリア代表の金保庚(キム・ボギョン)氏が自身の日本での就職経験や日本企業の雇用事情などを説明。日本企業への就職経験者が、韓国と比べて資格等のスペックより、やる気や潜在能力を重要視する日本企業の特徴を紹介した。
求人難の日本と就職難の韓国の財界が協調
日本の経団連と韓国の全国経済人連合会は、2017年10月20日に東京で開催した「第27回日韓財界会議」で、日本の求人難と韓国の青年求職問題の解決を目指し、両団体が共同で事業を推進するとしている。
8月には大韓貿易投資振興公社(KOTRA)とパソナグループが東京で面接会を実施し、今年5月には雇用労働部が日本企業への就職を想定した海外就職面接会をソウルで主催する。
2018年3月15日、日本の省庁に相当する複数の部で構成された雇用委員会は、若者の中小企業への就職支援や起業支援と合わせて「海外地域専門家養成方策」を公表した。2022年までに日本やASEANなど、合わせて1万8000人の海外就業を支援する内容で、なかでも日本の就職支援が中心となっている。