最新記事

韓国事情

就職難の韓国、人手不足の日本──日本での就職を後押しする韓国政府 

2018年3月27日(火)15時00分
佐々木和義

グローバル就業支援プログラム「K-Move スクール」の4割以上を日本に割り当て、韓国の大学で3年間、日本の大学で1年間教育を受けさせる「3プラス1」を活性化させて日本での就職を促進するなどの内容で、在外公館も雇用支援に取り組み、海外に進出している韓国企業への就業支援も推進する内容だ。

海外流出で懸念される人材不足

2009年から2014年まで減少が続いていた韓国の労働市場に参入する若者の数は、2015年から増加に転じた。かつてない就職難は1991年から1996年の間に生まれたベビーブームの子世代が就業年齢を迎えたためだと政府は分析するが、就業年齢人口の増加だけではない。

韓国の若者は多くがブランドを重視する傾向がある。有名企業への就職を希望し、中小企業には見向きもしない。企業は人材を育成するより、スキルが高い即戦力を求める傾向が強い。企業が育てても、得たスキルを武器に転職する若者が多いのだ。就業経験がない新卒者は資格などでスキルと高めるが、ハードルは高く、企業と求職者のミスマッチも高い失業率の要因となっている。

一方で深刻な少子化が進む韓国では、2022年以降、若年労働者は減少し、2028年に労働市場に参入する若者は前年を18万人下回る予測だ。海外へ流出した優秀な人材は韓国に戻らない傾向があり、将来、人材不足に陥る可能性は否定できない。

海外就職支援は一時しのぎに過ぎず、人材育成と意識改革がなければ、若者の就業環境の根本的な改善は期待できそうにない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ウクライナは徴兵年齢18歳に引き下げを、戦力強化へ

ワールド

トランプ氏指名の閣僚候補らに脅迫、自宅に爆破予告な

ワールド

イスラエル、ICCのネタニヤフ首相らへの逮捕状に異

ワールド

ロシア外務省、ウクライナへの核兵器提供の考えは「非
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式トレーニング「ラッキング」とは何か?
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウクライナ無人機攻撃の標的に 「巨大な炎」が撮影される
  • 4
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 5
    「健康食材」サーモンがさほど健康的ではない可能性.…
  • 6
    「健康寿命」を2歳伸ばす...日本生命が7万人の全役員…
  • 7
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 8
    未婚化・少子化の裏で進行する、「持てる者」と「持…
  • 9
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 10
    バルト海の海底ケーブル切断は中国船の破壊工作か
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 7
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 10
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中