ユナイテッド子犬死亡の教訓、愛犬を死なせないために知るべきこと
ユナイテッド航空機の荷物入れに入れられて死亡した子犬 Wochit News/YOUTUBE
<ユナイテッド機の荷物入れで子犬を窒息させてしまった事件の後、アメリカでは「なぜ救えなかったのか」の議論が巻き起こっている。だが機内トラブルは、スーパーやレストランのトラブルとは訳が違う。飛行機の客室乗務員は安全最優先で、ときに警官のような強制力をもっているからだ>
今週12日、米ユナイテッド航空の国内便で、客室乗務員の指示で、フレンチブルドッグの生後11カ月の子犬をケージに入れて頭上の荷物入れに入れておいたところ、到着までに死亡してしまうという悲劇が起きた。
ネット上ではたちまち「もし同じ指示をされたらどうする?」と大論争が巻き起こった。なぜ飼い主は指示に従ってしまったのか、なぜ飛行機を降りなかったのか、周りの乗客は何をしていたのか......。
まず、乗務員の指示に従ってしまった飼い主の事情も考慮しよう。報道によれば、彼女は何度も抗議し懇願したが英語が達者ではなく、子犬のほかに11歳の娘と生まれたばかりの赤ちゃんも連れていた。子供のほうにも気を取られていたかもしれない。
たとえそうだとしても、スーパーやレストランへの苦情と同様、クレームをつければ思い通りになりそうなものだと考える人も多い。航空会社も表面的にはにこやかに挨拶するし、日頃から顧客第一と言っているからだ。
簡単に救えると思うのは甘い
しかし飛行機内でのクレームは根本的に他のサービスと違う。客室内は、安全最優先で最悪の事故を想定した、厳格な規則で縛られている。普段は大して気にもならない規則だが、いざ機内トラブルが起こったときは、サービスをめぐるやりとりが、まるで警察官との言い合いのように変化してしまう。機内トラブルが消費者にとって難しいのはそこだ。
それでは、ペットの子犬が死にそうな時に、乗務員との議論に勝つためにはどうすればいいのか? 元客室乗務員として、いくつかアドバイスしたい。
▼声を上げること(ただし限度をわきまえて)
今回のケースでは、例え乗務員の指示が誤りだったとしても、飼い主が子犬をコンパートメントに入れることを拒否すれば、飛行機から降ろされていたかもしれない。乗務員の指示に従わないと、犯罪になってしまう規則だからだ。乗務員の指示を拒否する乗客は、安全上の脅威とみなして航空会社は搭乗を拒否できる。
しかしそれでも声は上げるべきだ。大事なのは冷静さを保つこと。航空法に詳しい専門家は「乗務員に反論することは許されているが、業務を妨害しないようにしなければならない」とアドバイスしている。
乗務員がどうしても指示を曲げないなら、チーフパーサーと話すことを要求しよう。パイロットと話そうとするのはやめた方がいい。パイロットは、操縦を優先して客室内のトラブルは客室乗務員に任せるよう訓練されている。
そして、抗議するのではあれば飛行機がゲートにいる間の方がいい。空港に常駐する、航空規則に精通したトラブル解決担当の航空会社スタッフが対応してくれる。