仮想通貨業者の新団体、ブロックチェーン企業は未加入 自主規制は可能か?
自主規制への長い道のり
新団体は、早期に自主規制団体としての認定を得られるよう申請を出す方針。しかし、業界団体を自ら律する体制を構築するのは容易ではない。
金融機関などは業態ごとに業界団体を作り、団体が業界を代表して金融庁などと交渉や連絡調整役を担う。しかし、自主規制団体には「当局より処分が遅い、軽いとの批判がついてまわる」(ある自主規制団体の関係者)との声が出ている。
東芝<6502.T>の不正会計問題で、同社の監査を担当していた新日本監査法人に公認会計士協会が処分を出したのは2017年7月。金融庁の行政処分から1年7カ月後のことだ。
証券会社の自主規制団体である日本証券業協会についても「昔は過怠金の金額が小さく、当局の処分の後追いとの批判があった」(野村総合研究所の大崎貞和主席研究員)という。しかし、大崎氏は、日証協の取り組みが近年、能動的になってきたと評価する。
日証協の源流は、戦前の1940年にさかのぼる。「長年、業界の親睦団体みたいなものだった」(大崎氏)という。しかし、2000年から日証協会長は所属を離れて協会の仕事に専念する「専任会長」に変更。専任会長になって中立性が向上した。
任期も1―2年で交代していたが、専任会長はいずれも3年以上務めている。2004年には、自主規制機能と業界活動とを分離し、それぞれ独立して運営する組織体制に変更。2008年6月には過怠金の上限額を原則1億円から5億円に引き上げた。
自主規制ルールにもとづいておこなう会員証券会社への処分は、金融庁による行政処分に劣後するケースがほとんどだが、2017年4月には、カブドットコム証券に対して、日証協だけが処分した。
強い仲間意識
コインチェックから巨額の仮想通貨が流出した1月26日。会見に臨むコインチェックの和田晃一良社長らに対し、複数の取引所幹部がSNS上に励ましのメッセージを記した。ある取引所のトップは、ネットで生中継される会見を見ながら、和田氏らと業界発展のために苦労してきたことを思い、涙を流していたという。
仲間意識を排除し、自主規制ルールが求める最低限のレベルに達しない事業者には処分や、場合によっては退場宣告ができるのか。業界の信頼回復に向け、新生・業界団体の本気度が問われている。
(和田崇彦 編集:田巻一彦)
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