医療大麻の新時代到来か 「大麻先進国」カナダ企業が薬品開発を加速
研究少なく、議論多し
大麻の成分を使った医薬品の効果とリスクを巡っては、いまだに激しい議論が交わされている。
長期使用による中毒や認知機能障害、不安神経症やうつ病、肺がんなどに対する懸念が、米国立衛生研究所(NIH)のウェブサイトに掲載された2014年の論文で挙げられている。
「大麻は、カナダ保健省の厳しい医薬品規制プロセスをまだ通過していない」と、カナダ内科学会(CMA)のローラン・マルクー会長は指摘。「適量や起こり得る副作用、そして他の医薬品にどう作用するかについて医師は分かっていない」とマルクー会長は語った。
2016年8月に保健省から医療用大麻の販売を許可されたエンブレムは、オピオイドへの依存を軽減する新たな鎮痛剤に適したカンナビノイド類を見つけ出す研究に、向こう2年間で320万カナダドルを投じる。
同社医薬品部門の責任者、ジョン・スチュワート氏は以前、米医療用麻薬最大手パデューファーマの北米CEOを務めていた。北米にまん延するオピオイド危機を招いた主因とされる鎮痛剤オキシコンチンを製造販売する会社だ。
だがスチュワート氏は、さらにデータが必要だと語る。
「オピオイドの服用を中止したいが、疼(とう)痛コントロールは続けたい患者に対し、医療用大麻による治療をどのように始めたらいいのか、われわれはまだ分かっていない」と同氏は述べた。
医薬品市場で「ばく大な可能性」を持つかもしれない完全に規制された製品を開発するために研究費を調達する中、医療用大麻の製造会社は、合法だが規制されない医薬品を販売し続けることが可能だという、まれに見る好条件に恵まれていると、メッドリリーフのニール・クロズナーCEOは語る。
「われわれには、多くの人が将来、さまざまな医薬品に取って代わるかもしれないと考える製品を販売することが許されている」と同CEOは説明。「だがそれには、カナダ保健省による従来の承認プロセスを経なければならないという義務はない」
(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
[トロント 16日 ロイター]
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