介護を担う米国の若者たち 恋愛なし友達付き合いなしの自らを救う5つの方法
2月22日、28歳のアマンダ・シンガーさんは、マサチューセッツ州でダンススタジオを経営し、多忙な毎日を送っていた。写真はベルリン近郊の高齢者向け住居で2013年5月撮影(2018年 ロイター/Thomas Peter)
28歳のアマンダ・シンガーさんは、マサチューセッツ州でダンススタジオを経営し、多忙な毎日を送っていた。
だが昨年後半、母親が乳がんで緊急手術と放射線治療を受けたことで、予期せぬ形で、よりたくさんの責任を背負い込むことになった──。無償で、家族の介護をするという役目だ。
シンガーさんは、米国に数百万人いる、介護を担うミレニアル世代の1人だ。同世代のほとんどが自身のキャリアや恋愛を重視するなか、シンガーさんは、週に3日、1日12時間を母親の隣で過ごし、買い物などの家事を手伝っている。
シンガーさんは、恋愛を一時棚上げにした。友人らと交流するソーシャルライフは「まったく存在していない」と話す。
ミレニアル世代の介護者は、その世代のステレオタイプにあてはまらない隠れた層だ。
「ミレニアル世代はナルシストで、自分勝手だという根拠のない説が広まっている」と、英サセックス大で米国の若い介護者について研究するフェイリン・ルイス氏は言う。
こうした固定概念によって、ミレニアル世代の介護者が必要な認定や支援を受ける障害となっていると、同氏は話す。
2015年の全米退職者協会(AARP)の調査によると、米国には4000万人の介護者がいる。こうした無給の働きによる経済価値は、2013年に約4700億ドル(約50兆円)に上った。
典型的な介護者は「中年女性」だが、ミレニアル世代は、介護者全体の4分の1近くを占める。
ミレニアル世代が、心理的にも体力的にも負担が大きくなりがちな介護をこなすために役に立つポイントを5つまとめた。
●1人ではない
レベカ・ビートンさん(21)は、人生のほとんどを母親の介護に捧げてきた。母親は、ビートンさんが生まれた年に多発性硬化症と診断された。
10歳の時には、母親の髪を整えるなど、日常的な行動を手助けしていたことを、ビートンさんは覚えている。17歳で、父親とともに母親の介護を担うようになり、それは昨年12月に母親が亡くなるまで続いた。
「時々、本当に孤独だと感じたことを覚えている。私のような経験をしている人は他にいないと思っていた」と、ビートンさんは言う。
支援団体などは、より年上世代の介護者支援に重点を置いているが、ミレニアル世代は、オンライン上で同世代の介護者とつながることができる。
ビートンさんも、米多発性硬化症協会や、障害者やその家族を支援する宗教組織「ジョニと友人」を通じて支援を得た。