最新記事

南北対話

北朝鮮、4月末板門店で韓国と首脳会談で合意 軍事的脅威の解消で非核化にも応じる

2018年3月6日(火)20時19分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

3月6日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長(写真右)は、韓国からの特使団(左)面談した。提供写真(2018年 ロイター/KCNA/via Reuters)

<5日から北朝鮮を訪問した韓国・文大統領の特使団は、訪朝結果として4月末に板門店で首脳会談を行うことで合意したと発表した>

韓国・文大統領の特使として5日から2日間北朝鮮を訪れていた韓国大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長は、帰国後の記者会見で4月末、板門店(パンムンジョム)の平和の家で、第3次南北首脳会談を開催することにしたと明らかにした。

韓国メディアNEWSISなどが伝えるところによると、鄭室長は同日、平壌から戻った直後、訪朝結果の会見を行い、南北首脳会談を含めて6項目の南北合意事項を伝えた。

これによると、韓国と北朝鮮は首脳会談を板門店の南側区域である平和の家で開催することで合意し、そのため具体的実務協議を進めていくことにした。

南北首脳会談は、これまで2回開催されてきたが、平壌ではなく板門店で行われることは初めてで、北朝鮮側が南北が対等に会話することに配慮したものとみられる。

また、南北は軍事的緊張緩和と緊密な協議のために、首脳間ホットラインを設置することにし、第3次南北首脳会談以前に最初の通話を行うことにした。

軍事的脅威が解消されれば非核化にも応じる

さらに鄭室長は「北朝鮮側は、朝鮮半島非核化の意志を明確にし、北朝鮮に対する軍事的脅威が解消されて体制の安全が保障されれば、核を保有する理由がないという点を明確にした」と語った。

また、「北朝鮮側は、非核化問題の協議及び米朝関係正常化に向けて米国と虚心坦懐な対話ができるという意思を表明した」と明らかにした。

さらに、鄭室長は「対話が持続される間、北朝鮮側は追加核実験および弾道ミサイル試験発射などの挑発行為を再開することはないことを明確にした。これと共に、北朝鮮は核兵器はもちろん、通常兵器を韓国側に向かって使用しないことを確約した」「平昌オリンピックのために延期された韓米合同軍事演習については、例年規模で行うことに金委員長も理解を示してくれた」と、北朝鮮側の変化を語った。

鄭室長は「最後に北朝鮮側は、平昌五輪に向けて醸成された南北間の和解と協力の良い雰囲気を保っていくため、韓国テコンドー師範団と芸術団の平壌訪問を招待した」と伝えた。

訪朝期間中の状況について鄭室長は「訪朝期間中、北朝鮮の金正恩国務委員長に会い、4時間以上を一緒に過ごしながら文大統領の親書と意思を伝えて、南北間の対話について幅広く論議した。これを通じて金委員長が朝鮮半島の平和と南北関係の発展に確固たる意志を持っているということを確認することができた」と評価した。

鄭室長はさらに「文大統領は訪朝結果の合意について前向きに評価し、今後、南北合意内容を支障なく履行せよと指示した」と伝えた。

北朝鮮の金委員長が非核化の前提として語った「北朝鮮に対する軍事的脅威が解消されること」が示すものがどのレベルのものかは不明だが、朝鮮半島をめぐる状況はまた新たな段階に入ったことは確かだ。

SPECIAL ISSUE 丸ごと1冊 金正恩SPECIAL ISSUE 丸ごと1冊 金正恩

北朝鮮核危機 日本人が知らない全貌

Chapter 1 KIM JONG-UN

若き指導者の謎多きプロフィール

「暴君」金正恩の虚像と独裁国家の実像

最高指導者が暗殺されない理由

Chapter 2 MILITARY

ミサイル兵器は射程も脅威も拡大中

ミサイル実験「失敗」の真相

「核保有国」北朝鮮と世界は共存できるのか

北ミサイルの本当の実力は

世論に見る米核攻撃の現実味

Chapter 3 POLITICS

独裁者を悩ます中枢幹部の戦い

党大会で本格始動した正恩政権の「頼みの綱」 ほか

【紙版】

amazon.pngrakuten.png7net.pngtsutaya.png

【デジタル版】

kindle.pngkobo.pnghonto.pngbooklive.png

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ルペン氏に有罪判決、被選挙権停止で次期大統領選出馬

ビジネス

中国人民銀、アウトライトリバースレポで3月に800

ビジネス

独2月小売売上は予想超えも輸入価格が大幅上昇、消費

ビジネス

日産とルノー、株式の持ち合い義務10%に引き下げ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 5
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 6
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中