銃規制のためには政治から立て直す、100万人集めた米高校生の驚くべき成熟度
同じくマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で事件に遭遇したキャメロン・キャスキーはこう言った。「私たちに黙って座っていろ、自分の順番が来るまで待っていろと言った指導者の皆さん、私たちを疑いの目で見たり、どうせ何もできないと冷めた目で見たみなさん、革命にようこそ。国民の意見を代弁できないなら出て行ってください」
生徒たちは民主主義を立て直さない限り、アメリカの銃危機を解決できないことを認識している。3月24日の集会で、彼らは投票権の重要性について語った。投票する権利が保障され、公平に代表が選ばれなければならないと訴えた。
マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の生徒たちを別にすると、銃暴力の被害に遭った子供たちが地元議員と直接対決する機会はめったにない。なぜなら議員の側は、子供の言うことなど無視しても誰にもとがめられないと思っているからだ。
選挙区の形が政治の都合でゆがめられたり、民意が反映されないような形になっていることも珍しくない。銃ロビー団体の議会に対する巨大な影響力は民主主義をゆがめている。アメリカ人の中には選挙権が危険にさらされていることに無感覚だったり、自分の投じる票の力に懐疑的になっている人もいるかも知れない。だが生徒たちは、民主主義をあきらめてはいない。
悲観主義と偏見と無為はもうたくさん
銃乱射世代が引き継いだのは混沌としたアメリカだ。3月24日のデモが悲惨な銃乱射事件がきっかけで盛り上がったとしても、主催者たちは歩みを止める気はない。
ドナルド・トランプ大統領はどの州でも若者たちから嫌われているが、トランプがアメリカの目下の危機の原因であり症状でもあることを彼らは理解している。
この国を今よりもいい形で残すには、ティーンエージャーが投票でトランプを追い出し、銃乱射を終わらせるだけでは足りない。民主主義を立て直し、銃暴力の犠牲者の声が、人種や地域の壁を越えて届くようにしなければならない。
その点、明るい兆しは見えている。生徒たちには覚悟ができているからだ。マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の生存者たちは、悲観主義と偏見と無為が何をもたらすかをその目で見ている。そんなものはもうたくさんだろう。
(翻訳:村井裕美)
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