最新記事

貿易

TPP11最終協定文発表 米国の要求で合意した20項目以上を凍結

2018年2月21日(水)16時09分

2月21日、環太平洋連携協定(TPP)に修正を加えた「包括的および先進的環太平洋連携協定(CPTPP)」の最終的な条文が発表された。米国を除く11カ国による協定が成立に向けて一歩近づいたことになる。写真はニュージーランドのパーカー貿易相(左)。ウェリントンで撮影(2018年 ロイター/Charlotte Greenfield)

環太平洋連携協定(TPP)に修正を加えた「包括的および先進的環太平洋連携協定(CPTPP)」の最終的な条文が21日、発表された。米国を除く11カ国による協定が成立に向けて一歩近づいたことになる。

11カ国は今年1月、CPTPPについて、南米チリでの3月署名を目指すことで合意している。

新協定では、医薬品の知的所有権保護を巡るルールなど、米国の要求によりTPPで合意した20項目以上が凍結あるいは変更された。

11カ国の国内総生産(GDP)は合計で10兆ドルに上り、世界全体のGDPの13%以上を占めるが、米国を加えると40%に達する。

ニュージーランドのパーカー貿易相は21日、「世界貿易機関(WTO)ルールの効果的運用への脅威が増しているため、CPTPPは重要性を増している」と指摘した。

トランプ米大統領は1月にダボスで開かれた世界経済フォーラムでTPP参加国と多国間で交渉する可能性を示唆したが、パーカー貿易相は今後数年以内に米国が協定に加わる可能性は「非常に低く」、米国がCPTPPに加わる意向を表明しても、参加国がすべての凍結項目を解除する保証はないと述べた。

また、協定が2018年末あるいは2019年前半に発効する公算が大きいとも語った。

オーストラリアのチオボー貿易相も「TPP11(CPTPP)は農業、製造業、鉱業、サービス業などあらゆる分野にわたり、わが国の新規雇用創出に寄与するだろう。米州とアジアに広がる自由貿易圏で新たな機会を生み出すからだ」と述べ、協定による経済効果を強調した。

[ウェリントン/シドニー 21日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中