王岐山、次期国家副主席の可能性は?
実はあの時、王岐山に関しても少しだけ聞いていた。
「香港での講演の後、北京に行って王岐山と会ったのですか?」と尋ねると「ああ、そうだよ」とバノンは答えた。
追いかけて「何に関して話し合ったのですか?」と聞きたかったが、失礼にあたるといけないと躊躇していると、バノン氏は「向こうが来てほしいと言ったから」と言葉を付け加えてくれた。きっと筆者が何か言いたげに言い淀んでいるので、気を利かせて付け加えてくれたものと思われる。
ああ、救われた!
それで十分だ......。
もし「王岐山が会いたいと言ってきた」というのが正しいのであれば、別ルートからその方向の情報を得ている。だとすれば、別ルートからの情報が正しいということになる。
その情報によれば、こうだ。
――バノンは香港に本社を置くアジア証券大手のCLSAアジア・パシフィック・マーケッツの主催により大型投資に関する非公開講演を香港ですることになっていた。それを知った王岐山は、習近平の母校である清華大学にあるグローバル人材養成プログラムのジョン・ソーントン教授(ゴールドマン・サックス元CEO)に秘密裏に頼んでバノン氏と連絡を取ってもらった。バノン・王岐山両氏の密談の内容は「トランプが主張する保護主義的あるいは国粋主義的な貿易政策」に関してだった。会談は90分間ほど、中南海で行なわれた。
ということは、王岐山の国家副主席就任は、この時点から決まっていたことになろうか。つまり昨年8月の北戴河の会議で、ほぼ決まっていたということだ。この時点における王岐山の職位は中共中央紀律検査委員会書記。チャイナ・セブンの一人として、反腐敗運動にまだ全力を注いでいた。
王岐山がもし国家副主席になった場合、その役割は?
今年の全人代は3月5日から始まり、3月15日に閉幕する。国家主席や国務院総理を始め、国家副主席など国務院系列の職位に関しては最終日に(ノミネートされたものに対する)投票によって決まる。
もし王岐山が国家副主席に就任することになるとすれば、習近平政権において如何なる役割を果たすことになるのだろうか?