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米朝関係トランプ政権、北朝鮮に大規模な制裁 船舶・海運会社など対象
2月23日、トランプ米政権は北朝鮮の核・ミサイル開発への圧力を強めるため、同国に対する大規模な制裁措置を発表した。写真は制裁について発表するムニューチン財務長官(2018年 ロイター/Jonathan Ernst)
トランプ米政権は23日、北朝鮮の核・ミサイル開発への圧力を強めるため、同国に対する大規模な制裁措置を発表した。トランプ大統領は、この制裁が機能しなかった場合「非常に不幸」な「第2段階」に移行する可能性を警告した。
財務省によると、27社の企業、28隻の船舶、個人1人が対象で、米国内の資産凍結のほか、米国人との取引が禁止される。
米政府は、国連の制裁として別途ブラックリストに載せるべきだとする団体も列挙し「北朝鮮が石油を入手し石炭を販売するために海上で行っている違法な密輸入を停止させる」のが目的だと説明した。
トランプ大統領はターンブル豪首相との首脳会談での記者会見で、検討中だと繰り返し触れてきた軍事的選択についても明白に言及。
「この制裁が機能しなければ、第2段階に移行しなくてはならない」と述べ、「第2段階は非常に厳しいものとなり、世界にとって非常に、非常に不幸なことになるかもしれない。だが、制裁が機能することを願う」と話した。
トランプ大統領は「米国はきょう、これまでいかなる国に対し導入された制裁措置よりも規模が大きい過去最大の制裁措置を導入した」と述べ、北朝鮮の燃料購入のための収入源を根絶することが目的で、「前向きな動きが期待できる」との立場を示した。
制裁措置は財務省外国資産管理局(OFAC)がウェブサイトで公表。北朝鮮の海運・貿易企業のほか、同国の船舶に圧力を掛けることが狙いとしている。
ムニューシン財務長官は声明で、船舶に対する制裁措置により、北朝鮮政権による不法な石炭と燃料の輸送」を巡る活動を阻止し、国際水域を航行して物品を輸送する能力を制限することができると述べた。
制裁対象となった船舶は北朝鮮、中国、シンガポール、台湾、香港、マーシャル諸島、タンザニア、パナマ、コモロ諸島の船籍を持つか停泊、もしくは登録などされている。
他に、台湾のパスポートを保持する人物、中国本土、香港、台湾、シンガポールの海運会社やエネルギー関連企業などが対象となった。
米財務省の高官は記者団に対し「大統領は、過去の努力が成功しなかったことや、北朝鮮の核開発プログラムにおいて実験の上達や進歩が認められることに対し、明らかな不満を抱いている」と述べた。
ムニューシン財務長官は別の会見で、2017年12月に行われたとする海上での密輸入の拡大写真を公表。米国が北朝鮮の船舶に乗船し検査する可能性は排除できないと述べた。
さらに、北朝鮮が利用している船舶は事実上全てが制裁下にあり、米政権として「北朝鮮との物品の輸出入を可能にし続けていることに制裁上の著しいリスクがあるとの警告を公表した」と話した。
米シンクタンク、民主主義防衛財団(FDD)のジョナサン・シャンツァー氏は今回の制裁について、財務省が発表した「対北朝鮮制裁において最大」のものだと分析。「この日の発表で唯一不足していたのは、中国の銀行に対する措置だ」と述べ、「北朝鮮を孤立化させるための努力を弱体化させ続けていることは分かっている」と話した。
北朝鮮が25日に閉幕した平昌冬季五輪に参加し韓国との間で雪解けムードが生まれており、米国による制裁強化はこれに水を差す恐れもある。だが、韓国は「北朝鮮との違法な貿易を行う向きに警告を発し、国連安全保障理事会の決定した制裁実行の支援につながる」として制裁強化を歓迎。台湾は、米国と連絡を取った上で、北朝鮮を支援している疑いのある市民や団体を捜査すると示唆した。
ニューズウィーク日本版 2/27号
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