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日銀「物価の眼鏡」は節穴? 国民は実感、容量減「シュリンクフレーション」

2018年2月23日(金)13時27分


日銀の生活意識に関するアンケート調査

日銀と国民の「インフレ感」のズレは、日銀が実施するアンケートでも確認できる。

「日銀のアンケート調査では、国民が既に5%近い物価上昇を感じている。こうした状況にも関わらず、金融緩和が不十分だとして、日銀が大規模緩和を続けるとしたら、物価高による購買力の低下により、国民をさらに苦しめることになりかねない」とグローバル・エコノミスト、斎藤満氏は警鐘を鳴らす。

日銀が20歳以上の個人4000人を対象に実施した「生活意識に関するアンケート調査」(2017年12月調査)によると、1年前に比べ物価は何%程度変化したかについて、回答者の平均値は4.5%上昇と9月調査の4.2%上昇を上回った。

現在の暮らし向きについては「ゆとりがなくなってきた」が12月調査で40.2%と、9月調査の39.2%から増え、その理由(複数回答)のうち、「物価が上がったから」(50.7%)、「給与や事業などの収入が減ったから」(48.5%)が群を抜いて高い。

それでも異次元緩和か

2013年4月、日銀は「少々毒はあるかもしれないが、短期間なら問題ない」と割り切ったスタンスで「異次元緩和」を開始した。当時は2年程度でインフレ目標を達成できると信じていたが、現実にはそうならず、達成時期を6回も先送りしている。

「次の5年間も『あとちょっとで2%になる』と言いながら異次元緩和を引っ張り続けたら、長期化による副作用が多方面で噴出してくる恐れがある」と東短リサーチ・代表取締役の加藤出氏はみている。

しかし、安倍政権にとっては、日銀が今の「物価の眼鏡」をかけたまま、インフレ目標を目指して超金融緩和を継続すれば、長期金利が抑えられ、政府は低い資金調達コストを満喫でき、株式も日銀が買い支えてくれるといい事づくめだ。

政府は16日、4月8日で任期満了となる日銀の黒田東彦総裁を再任する人事案を提示。副総裁の一人にリフレ派の若田部昌澄・早稲田大学教授を充てるなど、当面、異次元緩和の出口は封じられた。

さらに、最近の円高や株安のおかげで、市場がかつて予想した「金利目標の微調整」や「上場投資信託(ETF)の減額」は雲散霧消した。

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