スマート家電を狙う新型ボットネットの脅威
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<新型ボットネットはIoTに接続された機器の脆弱性に付け込んで乗っ取り、企業や基幹インフラに妨害攻撃を仕掛ける>
インターネットに接続された冷蔵庫やエアコンなどのスマート家電がハッカーに乗っ取られ、ネットをダウンさせかねない巨大なボットネット(悪意のあるユーザーによって遠隔操作されているコンピューター群)に変貌する――。専門家はそう警鐘を鳴らしている。
ネットセキュリティー企業チェック・ポイントによれば、最近注目される新型のボットネットは、16年に破壊的なサイバー攻撃を仕掛けたマルウエアMiraiを「はるかに上回るペース」で機器を乗っ取り続けるという。
「既にアメリカやオーストラリアなど世界中で100万以上の組織や企業に影響が出ており、その数は増える一方だ」と同社は警告する。「今は嵐の前の静けさ。もうすぐハリケーンがやって来る」
ボットネットはスマート家電やウェブカメラなど、いわゆるIoT(モノのインターネット)に接続した機器の脆弱性に付け込み、企業や組織、基幹インフラにDDoS(分散型サービス妨害)攻撃を仕掛ける。
16年にはMiraiが生み出したボットネットがネットフリックスやレディット、ツイッターといったネット関連企業のほか、ロシアの銀行も標的に。同年11月にはリベリアで国のネットインフラをダウンさせた。
新型ボットネットははるかに危険性を増している。IoT接続機器を次々に感染させ、他の機器に感染を拡大させるのだ。「全く新種の、より高度な攻撃が世界中で急速に広がっている」と、チェック・ポイントの広報担当者は言う。「さまざまな国のさまざまなタイプの機器から攻撃が行われている」
セキュリティーソフトを開発・販売するブルガードは16年、最多で1億8500万の機器がハッカーによってボットネットに組み込まれる恐れがあるとの調査結果を発表。多くのスマート機器メーカーがセキュリティー対策をないがしろにしていることも状況を悪化させている。ハイテク市場調査会社ガートナーの予測では、20年にIoT機器の数は200億を超える。