韓国GM撤退問題は文政権のアキレス腱? 国費投入で救済なら国民反発
厳しい労働市場に苦しむ韓国人から「貴族」と揶揄(やゆ)されがちな大企業の労働組合のために雇用を救済することに、国民が同情的でないことも問題を複雑にしている。
多くの若者は、そのような労働組合について、年配の労働者が子どもの大学費用や車の購入費を賄えるよう寛大な条件を守るための団体と見ている。
若者の失業率は昨年、9.8%と過去最悪を記録。これは全国平均3.7%の約3倍に上る。
GM幹部側は、韓国の比較的高い賃金と頑固な労働組合が、韓国事業における問題の一因だとしている。
だがGM韓国の労組幹部は、欧州でシボレーブランドの販売終了後、韓国での生産を減らした会社側の判断を非難している。韓国はかつて、GMの国際戦略において主要な輸出拠点となっていた。
保守政党である自由韓国党のHam Jin-gyu氏は、GM韓国と組合の両方が譲歩しない限り、どのような公的資金にも反対だと言う。
「GM本社に不透明な経営の責任を取らせることなしに、また、強硬姿勢を貫く貴族的な組合から痛みを分かち合うという約束を取り付けることなしに、(政府は)税金をつぎ込むべきではない」と同氏は語った。
<長年の警告>
一部韓国人の間では、利益を海外移転する外資系企業への根深い不信感があり、GMのような米国企業への支援はとりわけ論争の的となる。
米韓関係は現在、トランプ米大統領が両国間の自由貿易協定の再交渉を主張し、難しい時期にある。
「トランプ氏がタカ派姿勢を強める中、韓国政府が税金を投入したら国民は快く思わないだろう」と、対外経済政策研究院(KIEP)のエコノミスト、Chung Chul氏は指摘する。
GMは債務株式化と韓国事業への新たな投資を提案している。一方、韓国政府側は、支援するにはまず同社とその「不透明な経営」への監査を実施する必要があるとしている。
「非常に多くの職が危機的状況にあり、GM問題にどう対処するかは政府の政策に関わるものだ」と、韓国産業銀行の当局者は言う。「それ故、政府と当行は、単に結論を急ぐわけにいかない。誰かが自分は病気だと言った場合、われわれはまず問題を見つけるためにその腹部を切開する必要がある」
(翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)
[ソウル 22日 ロイター] -