最新記事

平昌五輪

南北合同チームに韓国国民が猛反対 文大統領は映画で学ぶべきだった?

2018年1月30日(火)18時15分
杉本あずみ(映画配給コーディネーター)

南北合同チームの選手たちが28日、初めて合同練習を行った。 Korean Sport & Olympic Committee / REUTERS

<オリンピック史上初の南北統一チーム結成が韓国内では反発を呼ぶ形になっている。過去の統一チームを扱った映画を文大統領が観ていれば、少しはこの国民感情を予想できたかも──>

第23回冬季オリンピックが、2月9日から韓国・平昌にて開催される。日本でも連日報道されているが、韓国と北朝鮮が「南北統一旗」で入場することや、オリンピック/パラリンピックに数百人規模の応援団が北朝鮮から参加すること。さらに開催1か月前に急きょ女子アイスホッケーチームが、韓国チーム23名に北朝鮮選手12名を追加した35名の南北合同チームで出場することなど、南北融和ムードに注目が集まっている。

初めて南北がスポーツの国際大会に合同チームで参加したのは、オリンピックではなく1991年に千葉市で開催された卓球の世界選手権だった。南北合同の女子団体チームは優勝し、このエピソードは後に2012年にペ・ドゥナとハ・ジウォン主演で映画化された。日本でも翌年『ハナ 〜奇跡の46日間〜』のタイトルで劇場公開されている。

今回の平昌五輪同様、この卓球世界選手権でも大会直前になって突然南北合同チームでの参加が決まり、映画では選手たちが困惑する場面が描写されている。劇中で韓国の選手が「誰がこんな合同チーム発足を指示したのか? 私は反対だ」と言うのに対して、代表チーム上層部が「国家の決定に不満があるようだが、嫌なら出て行け。代表チームの名簿から綺麗に名を消してやるから」と言うシーンがあり、公開当時は観客らから批判されたという。


『ハナ』の韓国公開時のティザー予告編。映画のモデルとなった1991年世界卓球選手権の映像が使われている。 CJ Entertainment Official / YouTube

では、今回のように南北の女子アイスホッケー選手が合同チームで活動することを描いた韓国映画は......というと、少し変則的な合同チームではあるが、実はすでに存在する。タイトルは『国家代表2』。韓国では2016年に公開されたが、日本では今現在未公開の作品だ。韓国で840万人以上を動員したヒット映画『国家代表』(2009年)の続編として制作された。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中