最新記事

コンプライアンス

独VW監査役会、サルを用いた排ガス実験巡り調査要求

2018年1月30日(火)11時04分

1月29日、フォルクスワーゲン(VW)の監査役会は、同社を含む独自動車メーカーが欧州機関に委託したディーゼル車の排ガス実験でサルが対象になったとの報道を受け、速やかに調査を行い、責任の所在を明確化するよう求めた。写真は同社のロゴ。米デトロイトで16日撮影(2018年 ロイター/Jonathan Ernst)

フォルクスワーゲン(VW)の監査役会は、同社を含む独自動車メーカーが欧州機関に委託したディーゼル車の排ガス実験でサルが対象になったとの報道を受け、速やかに調査を行い、責任の所在を明確化するよう求めた。

VW監査役会長のハンス・ディーター・ペッチュ氏は29日に出した声明で、「この問題について詳細な調査が行われるよう、あらゆる手を尽くす」と表明。「責任の所在を明確にすべき」とした。

米ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙は前週末、複数の独自動車メーカーが「運輸部門における環境と健康に関する欧州研究グループ(EUGT)」と呼ばれる機関に実験を委託したと報じた。実験は、ディーゼル車の排ガスに含まれる物質に発がん性があるとの指摘があったことを受け、評判の悪化を防ぐ目的で2014年に行われた。

EUGTは昨年、廃止されており、コメントは得られていない。ロイターは14年に行われた実験の詳細を確認できていない。

NYTによると、EUGTは実験に必要な資金を全額、VW、ダイムラー、BMWから受け取った。

欧州連合(EU)欧州委員会の報道官は、第三者機関による実験の報道について承知しているとした上で、30日にブリュッセルで開催する大気質に関する閣僚会議で「当該国の閣僚から説明を受けることを望む」とした。

米ゼネラル・モーターズ(GM)、米フォード・モーター、欧米系のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)  の代表は29日、人や動物を使った排ガス実験は行っていないと表明した。

VW、ダイムラー、BMWも27日にサルを対象にした実験を非難している。

VWは29日、一部のスタッフは実験が行われた当時、これを承知していたと説明。ただ、取締役会で議題になったことはないとした。

独政府のザイベルト首席報道官は定例会見で、サルや人を対象にした排ガス実験は倫理上、正当化できるものではないと強調した。

[フランクフルト 29日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏、つなぎ予算案「急失速」 債務上限停止・

ワールド

北朝鮮、ロシア軍事協力「非常に効果的」 米・同盟国

ビジネス

日経平均は一時700円超安、FOMC後の米株安嫌気

ビジネス

韓国ウォンが15年ぶり安値、米FRBの利下げ慎重姿
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達した...ここまで来るのに40年以上の歳月を要した
  • 2
    遠距離から超速で標的に到達、ウクライナの新型「ヘルミサイル」ドローンの量産加速
  • 3
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「TOS-1」をウクライナ軍が破壊する劇的瞬間をカメラが捉えた
  • 4
    「制御不能」な災、黒煙に覆われた空...ロシア石油施…
  • 5
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 6
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 7
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 8
    アサドは国民から強奪したカネ2億5000万ドルをロシア…
  • 9
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 10
    年収200万円は「低収入ではない」のか?
  • 1
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式多連装ロケットシステム「BM-21グラート」をHIMARSで撃破の瞬間
  • 2
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いするかで「健康改善できる可能性」の研究
  • 3
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達した江戸の吉原・京の島原と並ぶ歓楽街はどこにあった?
  • 4
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 5
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 6
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 7
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 8
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 9
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 10
    【クイズ】アメリカにとって最大の貿易相手はどこの…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 7
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 8
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 9
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中