米中貿易戦争に発展か 習近平がトランプの「炎と怒り」軽視?
1月19日、トランプ米大統領が中国の貿易慣行に対して厳しい措置を講じることを真剣に検討していると、米財界の有力者が同国に警告を発している。だが中国当局者は真に受けておらず、首都北京では危機感がほとんど感じられない。写真はトランプ米大統領夫妻と中国の習近平国家主席夫妻。北京で昨年11月撮影(2018年 ロイター/Jonathan Ernst)
トランプ米大統領が中国の貿易慣行に対して厳しい措置を講じることを真剣に検討していると、米財界の有力者が同国に警告を発している。だが中国当局者は真に受けておらず、首都北京では危機感がほとんど感じられない。
世界の2大経済大国を支配する貿易ダイナミクスを揺るがすのに必要な経済的代償を、米国政府が支払う気などないと、北京にいる専門家の多くは考えている。
両国の貿易関係を巡る懸案としては、中国からのものも含む鉄鋼・アルミニウムの輸入が米国の国家安全保障を損なっているかを調べる調査のほか、輸入される太陽光パネルに関税をかける可能性、中国による知財侵害への調査がある。
「これは中国に取引を求める脅しかもしれない」と、中国の政府系シンクタンク「中国グローバル化研究センター(CCG)」のHe Weiwen上級研究員は話す。
全てとは言わないまでも、こうした調査結果の大半は結論が間近と見られている。トランプ氏は17日、ロイターとのインタビューで、1974年の通商法301条に基づき、知財侵害調査の結果次第では、中国に対して「巨額の罰金」を科すことを検討していると警告していた。
米中間を隔てるこうした認識のギャップは、通商問題を巡る協議が減少していることも一因だと指摘する声が、米財界からは聞こえてくる。その結果生じる空白は、両国が貿易を巡って衝突する可能性を高めている。
「特に経済・通商問題を巡る対話は、以前行われていたものの影や殻、形跡程度のものでしかなくなっている」と、中国高官に時間切れになりつつあると警告するため、北京を最近訪れた米財界代表団に同行したある業界筋はこう語る。
この人物によると、超党派から成る米代表団には、ジョージ・W・ブッシュ政権幹部だったスティーブン・ハドリー氏やカルロス・グティエレス氏ら元米高官が大半を占め、7人いる中国政治局常務委員の1人で副首相の汪洋氏や、エコノミストで習近平国家主席の側近である劉鶴氏ら中国指導部幹部と会談したという。
米代表団は、貿易摩擦が「解消されておらず」、まもなく「重大な措置」が取られる可能性が高いとのメッセージを伝えたと、会談に出席したというこの人物は明かした。
「『お互いに負ける』、『そちらの方がより多くを失う』といった反応を耳にした」と、中国側の受け止めの様子についてこう語った。