「チャイナ・イニシアチブ」に巻き込まれている日本
3. 異なる社会制度や意識形態(思想)あるいは伝統文化を乗り越え、開放と包容的な態度で各国間の交流協力を推進し、自国の利益を追求すると同時に、他国の利益に配慮してウィン-ウィンを目指す。
4. 新型国際関係の基礎の下「小異を残して大同につく」関係を樹立し、相互尊重と相互を鑑とする「新型政党関係」を築く。全ての国の政党が人類の未来を創っていく。われわれは習近平総書記を中心とする中国共産党と中国政府が人類運命共同体を構築し、一帯一路建設が実現していることを喜ばしく思う。習近平総書記が一帯一路建設において提唱してきた精神である「共商共建共享(Jointly sharing)」が地球ガバナンスの方向性として国連決議に盛り込まれ、人々の心の中に深くしみわたっている。一帯一路の精神は、まさに人類の運命共同体という時代の潮流にふさわしいものである。
5. このように「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」は人類運命共同体の構築を強調している。これは、中国共産党が中国人民の幸福をもたらすだけでなく、人類の進歩のために奮闘する政党であることを証明している。
概ね以上のような内容だが、参加者は身を乗り出して聞き入っていた。
「閉鎖的な孤島」という言葉を用いて「人類運命共同体」を新型国際関係と位置付けるあたり、明らかにアメリカを意識してのことだと分かる。それでも参加者たちは「わが党もまた人類運命共同体を担う一員だ」と自尊心をくすぐられてか、中国に協力していく。その心理を利用した中国の戦略に、まんまと嵌り込んでいくのだ。
「チャイナ・イニシアチブ」は、「西側の価値観」に代わって、中国がグローバル経済をテコに「北京発の世界の価値観」を創りあげ、一気に中国に傾かせていこうという戦略であるということもできる。
日本の特定人物にターゲットを絞れ!
中国の中央テレビ局CCTVは、日本の公明党の山口代表や社民党代表などの紅潮した顔と弾んだ声を報道した。山口氏は「新時代の第一歩を記せた」と訪中成果を誇っていた。日本が自公連立政権であることを知った上での中国の戦略だ。
中国が日本を懐柔するためにターゲットを絞っている人物が二人いる。
一人は自民党の二階俊博幹事長で、二人目は公明党の山口那津男代表である。
以前は小沢一郎氏だったが、今はターゲットのリストから外している。
二階氏は習近平が唱える「一帯一路」構想に参加すべきという意見を持ち、山口氏は改憲に慎重だ。この二人を中国にとって都合のいい方向に導けば、中国の夢の実現がその分だけ近づく。だから中国は、この二人を抱き込むことに余念がない。