最新記事

北朝鮮

金正恩が新年の演説「平昌五輪に参加、核のボタンはいつも机の上に」

2018年1月1日(月)12時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

北朝鮮の金正恩労働党委員長は、トランプ政権を挑発する一方、平昌五輪に代表団を派遣すると硬軟両様の姿勢を見せた。 (c) YTN news / YouTube

<北朝鮮の金正恩は新年のあいさつで、核ミサイルが全米を射程範囲にあるとトランプ政権を挑発する一方、平昌五輪に代表団を派遣する用意があり南北対話に応じる姿勢を見せた>

北朝鮮の金正恩労働党委員長は1日朝、朝鮮中央テレビを通じて放送された2018年新年の演説で、直接国民に対して「新年はわが人民が共和国創建70周年を祝い、南朝鮮(韓国)では冬季オリンピック競技大会が開かれることで、北と南にこのように意義のある年だ」と語りかけた。

YTNなど韓国メディアによると、金委員長は続けて「平昌冬季オリンピックは、民族の地位を誇示する良いきっかけとなり、私たちは大会が成功裡に開催されることを心から願っている」「北朝鮮も代表団の派遣を含めて必要な措置を執る用意がある」と続けた。

また韓国との関係について「私たちは民族の尊厳と気概を内外に知らしめるためにも、凍結状態にある北南関係を改善し意味深い今年を民族の歴史に書き加える年に輝かさなければならない」と語り、南北対話への可能性をにじませた。

さらに「何より南北間の先鋭的な軍事的緊張状態を緩和し、朝鮮半島の平和的な環境から用意しなければならない」「北と南の情勢を激化させることをこれ以上してはならず、軍事的緊張を緩和し、平和的環境を用意するために共同で努力しなければならない」と続けた。これは、暗にではあるが、韓国側に2月にも予定されている米韓合同軍事演習の中止を求めたものと見られる。

これまで韓国・文在寅(ムン・ジェイン)政権による平昌五輪参加への呼びかけには公式・非公式問わず無言を貫いてきた北朝鮮だったが、1日の金委員長の新年の演説で一転して参加することを明らかにした。これは国連の安保理決議による制裁の影響が北朝鮮国内で大きく出てくる前に、友好ムードに切り替え、これ以上の制裁を避けるための方策ともとれる。


北朝鮮の朝鮮中央テレビは金正恩労働党委員長の演説をアナウンサーを介さず直接放送した YTN news / YouTube

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:またトランプ氏を過小評価、米世論調査の解

ワールド

アングル:南米の環境保護、アマゾンに集中 砂漠や草

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 10
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中