中国、一帯一路でカンボジアに投資加速 「第2のマカオ」誕生か
第2のマカオか
市の人口25万人のうち、中国人の住民数は数千人とも数万人とも見積もられているが、公式の数値は発表されていない。
シアヌークビル一帯では、標準中国語(北京官話)の表示が増えつつある。スーパーマーケットが中国製品であふれているのは日常的な風景だ。国内製品といえばビールや飲料水程度になりがちだ。
だが、現時点でのシアヌークビルに対する中国人流入は、今後予想される規模とは比較にならない。かつては落ち着いたインディペンデンス・ビーチ近くでは、コンクリートの高層ビルが数カ月で続々と建ち並び、カジノやホテル、数千戸のマンションの誕生が予定されている。
「ここは第2のマカオになる」。総工費2億ドルの38階建てリゾートマンション「ブルーレイ・リゾート」開発を手掛けるゼネラルマネジャーChen Hu氏(48)は、シアヌークビルを世界最大のギャンブル中心地マカオになぞらえる。
同氏が案内するショールームでは、マンション購入を検討する中国人グループが完成予想模型をうっとりと眺めている。少なくとも700戸ある物件のうち約20%が売約済みだと彼は言う。価格は約12万5000ドルから50万ドルだ。
「文句を言う人も多いが、中国マネーの流入で利益を得ている人もやはり多い」と語るのは、William Vanさん(60)だ。彼が所有する集合住宅は、ほとんどが中国人労働者で埋まっており、投資による利益も膨れあがっているという。
中国人投資家にとって明らかな魅力となっているのは、カンボジアと中国の密接な関係だとデベロッパーは指摘する。フン・セン首相が繰り返し北京を訪問しており、中国の習近平国家主席もカンボジアを昨年末訪問したことで、両国の関係は一層強化されている。
最近北京を再訪したフン・セン首相は、中国企業から、幹線道路、プノンペン郊外の衛星都市、そして教育やエンターテイメント、銀行分野のプロジェクトなど、総額70億ドルに上る投資の申し出を受けた。
このうち新規、もしくは確定的な投資がどれほどあるかは明らかにではないが、投資トレンドが加速している様子が浮き彫りになった。