映画関係者が興行収入をかけ契約交渉する見本市AFMとは?
韓国映画の動向はどうだったのだろうか。4DXなど海外に上映システムを普及させたり、CJグループのようにトルコ、ベトナムなど海外にもシネコンを精力的にチェーン展開するなど、日本以上にグローバル展開を目指す韓国映画界。AFMにも当然のごとく精力的に参加したようだ。制作会社では、CG/VFXなどのポストプロダクション会社やアニメーション会社10社が総計293社とのミーティングをおこない、計1.820万ドルの契約を成功させ話題となった。
また映画会社ではロッテシネマが、12月20日に韓国公開が決まっているハ・ジョンウ主演の映画「神と共に(原題:신과함께)」をセールス。すでに釜山国際映画祭フィルムマーケットで「アジア地域では最高価格で販売された」と話題を呼んだ映画だが、引き続きAFMでも注目作品の1つとなった。死後、あの世に行った主人公が49日間に7つの地獄で審判を受けるという内容の作品で、釜山ではたった12分、AFMでも27分のダイジェスト映像だけの状態で、しかもパート1、2セットでの販売だったが、アジアをはじめ北米、ヨーロッパ各国合計90カ国での上映が決まった。
海外への販売から、海外での直接制作へ
今回、この「神と共に」の版権を販売したのは、韓国3大配給会社の1社であるロッテシネマだ。今までロッテショッピング部の傘下にあった映画コンテンツ、投資、配給部門が12月から映画事業部として分離される。今回の「神と共に」版権販売成功をもとに、今後も精力的に海外への作品販売を行っていくだろう。その他の2社はどのような海外展開を考えているのか見てみよう。
ショーボックスの戦略は、「直接投資」だ。現在ハリウッド映画「The Widow」をアメリカの制作社SKEと、「Forever Holiday in Bali」をインドネシアの韓国系制作社Sonamuと合作中である。その他中国との合作も控えている。
韓国映画会社トップのCJ E&Mは、2020年から海外で自社制作する映画を20作、10か国以上の言語で作ると今年9月に発表した。今まで行ってきた「完成した映画の海外輸出やリメイク権の販売」を海外ローカル映画の製作にシフトしていくことがグローバル進出の新しい方法だという。今回の「神と共に」のように、全ての映画が好調に販売されているわけではない。韓国特有の情緒が合わないという国も多いだろう。だったらその国に合わせて作ってしまえばよい、という発想は何とも韓国らしい。
観客動員1000万人越えを果たしたヒット作品もあったとはいえ、海外へのコンテンツは飽和状態といっていい。海外への販売はもとより、今後は海外との共同制作がどんどん増えていくきざしが伺える。すでに勢いのある中国、これから現地製作をベースに海外展開を見せる韓国。日本の映画界もいい意味で競い合いながら素晴らしい作品を1作でも多く海外に発表してほしい。