映画関係者が興行収入をかけ契約交渉する見本市AFMとは?
バラエティなど業界誌のバナーが彩りを添える会場のホテル © The Independent Film & Television Alliance
<外国映画はどのように輸入され、日本映画はどのように海外に進出するのか? 映画の海外配給で大きな商談の場になっているAFMが今年も開催された>
早いもので2017年も残りわずかとなったが、映画の売買に関わる人たちの1年の締めくくりと言えば「AFM」である。AFMとは、American Film Market=アメリカン・フィルム・マーケットの略で、毎年東京国際映画祭の終わった頃、10月末〜11月の約8日間、アメリカのサンタモニカで開催される映画の見本市だ。開催期間の約1週間で10億円以上もの契約が交わされるといわれ、今年も、11月1日から8日まで映画関係者ら約7.415人が71カ国から集まり、2017年の締めくくりの売り上げと買い付けを賭けて、熱い取引が繰り広げられた。
とはいえAFMは映画関係者以外には広く知られているわけではない。カンヌ映画祭やベルリン映画祭などと比べるとニュースにもならず、この記事で初めて聞いたという人も少なくないだろう。しかし、映画配給関係者にとっては1年のメインイベントの1つと言っても過言ではなく、世界最大の映画見本市なのだ。
海外映画がどうやって輸入され日本国内で上映されるのか知っている人はどのくらいいるだろうか? 私の周囲の知人に尋ねてみても「海外でヒットした有名な映画は自動的に公開されるんでしょう?」「映画館が買っているんじゃないの?」と、映画バイヤーの存在自体知らない人が多かった。
メジャーと呼ばれるハリウッドの大手映画会社は自社や関連会社が世界各国に配給することが多いが、メジャー以外の会社や外国の映画などは、セラーと呼ばれる販売会社とバイヤー(買い付け)が交渉を行い権利を売買して輸入しているのだ。売り手は少しでも高く売り、買い手は少しでも安く買いたい。そこでミーティングを重ね売買の交渉が始まる。
もちろん、マーケット会場での公用語は英語。しかし、英語が流暢にしゃべれるからと言って交渉がうまくいくとは限らず、売り手と買い手の信頼関係や相性によって決まったり、タイミングやその映画にかける熱意などで売買が成立することも多い。というのも1度映画の権利を買ったらそれっきりではなく、その後7年(一般的には7年契約が多いが、交渉内容によって変わる)公開〜その後のレポート〜契約更新など、相手側担当者とは末永く付き合っていかなくてはならないからだ。