最新記事

中国

北ミサイル、中国の本音は?――中国政府関係者独自取材

2017年12月4日(月)15時38分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

北朝鮮ミサイル発射受け、国連安保理が緊急会合(11月29日) Lucas Jackson-REUTERS

北朝鮮の新型ミサイル「火星15型」の発射を受け、中国はどのように反応し、今後どのように動くのか?表面に出てきた言動を総括しつつ、中国政府関係者を独自取材し、北朝鮮問題をめぐる中国の本音を引き出した。

トランプと習近平の電話会談

11月29日未明、北朝鮮は新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15型」を発射した。アメリカ全土をカバーするとみなされている。それを受け、トランプ大統領は習近平国家主席と電話会談を行なった。会談の中でトランプは習近平に「北朝鮮への原油の禁輸」を求めたとのこと。29日午後(日本時間30日午前)に開かれた国連安全保障理事会でアメリカのヘイリー国連大使が明らかにした。

今年9月の北朝鮮による核実験を受け、安保理は北朝鮮への石油製品の輸出制限などの制裁を決定はした。しかし実態は、日米が原油を含めた石油類の全面禁輸を求めたのに対し、中露は原油の全面禁輸に反対し、原油の輸出に上限を設けただけで、表面上、「全会一致」の形を取ったに過ぎなかった。

それに対してトランプは今般、習近平に「今や、北朝鮮への原油の供給を止めなければならない時に来ている」として、原油の全面禁輸を求めた。しかし習近平は、米中協力の重要性を基本に置きながらも対話の重要性を強調。

さらに12月1日、習近平は北京で主催した「中国共産党と世界政党ハイレベル対話」において、北朝鮮情勢に関して「武力を妄信してはいけない」と、アメリカを牽制した。

中国外交部報道官

中国の外交部報道官は11月29日の定例記者会見で以下のように述べた。

中国外交部のHPより、記者の関連質問と報道官の回答を略記する。

質問:中国は本日未明の火星15型の大陸間弾道ミサイルの発射をどう思っているか?

回答:中国は北朝鮮のミサイル発射に関して重大な懸念と反対を表明する。北朝鮮が安保理の関係決議を遵守することを厳しく求める。しかし同時に、半島の平和と安定を維持するため、関係各方面は慎重に行動することを希望する。 

質問:中国は北朝鮮へのさらなる制裁を考えているか?

回答:第一に、中国は一貫して全面的に国連安保理の対北朝鮮制裁決議を厳格に履行している。第二に、中国は半島の非核化に向けて、これまで通り、対話により半島の平和的安定を維持するという原則に基づいて行動している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 8
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中