最新記事

アフリカ

ジンバブエでクーデターか? 兵士が国営放送局を占拠するも「大統領は無事」

2017年11月15日(水)16時28分

11月15日、ジンバブエの首都ハラレで朝方、兵士が国営放送局を占拠した後、大きな爆発音が複数回聞こえたと、ロイターの目撃者が明らかにした。ハラレ近郊で14日撮影(2017年 ロイター/Philimon Bulawayo)

ジンバブエの首都ハラレで15日、兵士が国営放送局ZBCを占拠した。軍は、ムガベ大統領(93)の周辺にいる社会・経済的な苦痛をもたらす「犯罪者」が標的だとし、権力を掌握したと発表した。また大統領と家族は無事だとした。

与党ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU─PF)はこれより先、軍トップの「反逆行為」を非難しており、クーデターとの観測が広がっていた。

軍の報道官はテレビ放送で、「任務」終了後、可能な限り早期に「正常な状態」に戻るとの見方を示した。

政府の関係筋によると、軍は15日にチョムボ財務相を拘束した。チョムボ氏は、ZANU─PF内で大統領夫人のグレース氏(52)が率いるグループ「G40」の中心メンバー。

ハラレでは兵士が市内に配置され、ロイター記者は主要道路で装甲車両を確認した。その2時間後に兵士がZBCを占拠し、従業員に退去を命じた。ロイターの目撃者によると、その直後、ハラレ中心部で3回の爆発が起きたという。

ジンバブエでは1週間前、ムナンガグワ第1副大統領が解任された。ムナンガグワ氏は数カ月前はムガベ大統領の後継者として有力候補と目されていた。同氏の解任により、大統領夫人のグレース氏が後継就任に道が開けた形となる。

チウェンガ国軍司令官は13日、ムナンガグワ氏の支持者の追放をやめさせるため「介入する」準備があると述べた。軍がムナンガグワ氏解任の受け入れを拒否すると表明した。

当局者によると、ムガベ大統領は14日にハラレで週次の閣僚会議に出席。ZANU─PFはその後、チウェンガ国軍司令官が反乱をあおる目的で「反逆行為」を行ったと非難した。

一方でアナリストらは、軍は批判を避けるため、自身の動きを全面的なクーデターではないものとして示したい考えだと指摘している。

米英はハラレに滞在する自国民に対し、「政情不安」を理由に外出しないよう呼び掛けた。

ムガベ大統領は過去37年にわたりジンバブエを率いてきた。アフリカ大陸では尊敬を集める一方、欧米では独裁者などとして批判されている。

[ハラレ 15日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

なるべく早い時期に渡米して意見交換したい=米関税で

ビジネス

全国CPI、1月コアは+3.2%に加速 生鮮食品主

ワールド

バー米FRB副議長、銀行規制弱体化の弊害を警告 退

ビジネス

「ミーム株王」コーエン氏がアリババ株追加取得=WS
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 7
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 8
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 9
    トランプ政権の外圧で「欧州経済は回復」、日本経済…
  • 10
    ロシアは既に窮地にある...西側がなぜか「見て見ぬふ…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 5
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 8
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 9
    週に75分の「早歩き」で寿命は2年延びる...スーパー…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 6
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中