アメリカ献体市場レポート 売られた部位が語るドナーの悲劇
マッカーサー氏は、医学的研究に有用か調べるため、遺体の一部と同梱されていた書類を検証した。同氏の検証は、米国組織バンク協会などのために自身がドラフト作成に関わった安全と倫理基準に基づいて行われた。
その結果、リストア・ライフが提供する遺体の病歴は不十分であり、書類はずさんで不適切だと、マッカーサー氏は結論付けた。このような理由から、同社が販売する検体は、マッカーサー氏の大学の使用基準を満たしていない、としている。
「これほどひどいのは初めてだ」とマッカーサー氏は言う。「このような状況では、将来のドナーや献体への信頼性について心配になる」
敬意と尊厳
ロイターは購入から数カ月後、リストア・ライフのジェームズ・バード社長にコンタクトを取った。社長は経営方針について、次のように簡単に説明した。
「ドナーの家族と直接コンタクトを取るため、われわれのような団体は特に責任があると考えている。個人的な関係を築くため、そこにはある程度の敬意と尊厳がある」
バード社長はその後、取材や書面での質問に答えることを拒否するようになったが、ロイターによる購入を批判する内容のメールを送ってきた。
「われわれの団体に助けを求める人たちに、トムソン・ロイターの取材チームが関心のないことは明らかだ。最も助けを必要としている人たちを傷つけたいだけだろう」
リストア・ライフは、がんや認知症や他の疾病の治療薬を開発する研究者に遺体の一部を供給するという良い仕事をしている、と社長は付け加えた。
「さまざまな研究において、世界的に有名な研究者たちに協力することにより、われわれは数えきれないほと多くの人たちの助けとなっている」
遺体の一部を供給することにより、リストア・ライフがどのような「良いこと」を成し遂げたいのかはさておき、同社の遺体の扱いは「どうしようもなく劣悪」で、研究者の役に立ったり、コディ・ソーンダースさんと同社がロイターに販売した頭部2つの持ち主である不特定の男女に報いたりすることはできないと、マッカーサー氏は指摘した。