南シナ海で橋頭堡の建設進める中国 より強硬に領有権主張も
戦略なき戦術
米政府系シンクタンクのランド研究所が最近発表した米中衝突リスクについての分析では、「発火点」となり得るリスク要因として、南シナ海のランクを引き上げた。
南シナ海について「米中両国の確執における予期せぬ焦点となった」と指摘した同研究では、「発火点」としての同海域のランクを、台湾より上だが、朝鮮半島より下と位置付けている。
米国防総省が中国の主張に対抗するため「航行の自由」作戦で同海域のパトロールを強化するなか、徐々に拡大する中国支配を押しとどめるのに米国政府は苦慮していると指摘する専門家もいる。
「中国は、南シナ海における支配権を確保するためによく練られた長期戦略に基づいて行動しているようにみえるが、米国の対応はその場しのぎの戦術的行動だ」と、シンガポールのユソフ・イシャク研究所のイアン・ストーリー氏は言う。
「航行の自由作戦は、戦術であって戦略ではない。中国に南シナ海戦略を再考させる効果はまったくない」
上海政法学院の海事専門家 Ni Lexiong氏は、現段階では中国は軍事展開を急激に拡大させる必要はなく、それは他国の行動次第だと説明する。
「他国が意図的に衝突を扇動しない限り、状況は平穏だ。問題は、米国のような国が、状況をかき回すことだ」と、同氏は言った。
(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)
[香港/北京 31日 ロイター]
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