南シナ海で橋頭堡の建設進める中国 より強硬に領有権主張も
南シナ海問題は、11月3─14日の日程で行われるトランプ米大統領のアジア歴訪においても取り上げられそうだ。
「南シナ海を巡る緊張について、引き続き懸念している。特に、領有権が争われている地域で、埋め立てや軍事化を行ったり、領有権主張のために強圧的な手段に頼ろうとする一部の当事者について懸念している」と、米国務省のマイケル・カービー報道官は述べた。
「われわれは継続的に、中国や他の当事者に対し、領有権が争われている島しょにおけるさらなる埋め立てや施設建設、軍事化を控えるよう呼び掛けてきた」と、同報道官は付け加えた。
ロイターの問い合わせに対し、中国国防省の報道官は、これらの島は中国の領土だとの主張を繰り返した。
「南シナ海にある、われわれの島や岩礁における建設や、必要な防衛施設建設を指して、軍配備の拡大と呼ぶことはできない。南シナ海情勢は、一般的に良好だと考えており、当事者は協力して南シナ海の平和と安定の維持に努めるべきだ」と報道官は述べた。
中国の崔天凱・駐米大使は10月30日、南シナ海問題の解決に向けた地域の努力に米国は「干渉」すべきでないと発言した。
年間3兆ドルもの製品が輸送されるこの海域の長期的安全保障の展望について米国政府が懸念を深めるなか、中国は、領有権を主張する当事国であるフィリピンをなだめようとする一方で、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国との対話も加速している。
米太平洋軍のハリス司令官は10月初旬にシンガポールで行ったスピーチで、米国政府は、北朝鮮問題で中国の協力を求めてはいても、もし中国が国際ルールや規範を侵す場合にはその責任を問うと述べた。
「東シナ海や南シナ海における挑発的な行動をやめるよう、中国にさらなる努力を求めたい。こうした領有権が争われている海域で事実上の主権を確立するため、同国は軍事力を拡大し有利な立場を築こうとしている」と、太平洋地域の米軍トップであるハリス司令官は述べた。
中国が自身の主権が及ぶと主張する境界線「九段線」による海域は、南シナ海のほぼ全域にあたり、ベトナムやフィリピン、マレーシア、台湾、ブルネイがそれぞれ領有権を主張する海域と重なっている。