あのサウジアラビアが穏健化を宣言したけれど
それでも彼らのテロ・過激派対策には批判が強かった。アメリカはオバマ政権時代、サウジアラビアのテロ資金提供を止めさせる計画があった。内部告発サイト、ウィキリークスが公表したメールでクリントン国務長官(当時)はこう書いた。「カタールおよびサウジアラビア政府に圧力をかけるべきだ。両国はひそかに地域内の(ISISなど)スンニ派急進勢力に資金提供と後方支援をしている」
トランプ米大統領はサウジアラビアは同盟国だと繰り返し述べてきたが、この国では宗教強硬派が影響力を振るって改革を妨げてきた。ムハンマドが改革と経済成長という野心的な目標を達成できるか、怪しいものだとみる向きはある。
人権団体によると、相変わらず国内ではジャーナリストが投獄され、人権侵害も続いている。9月に宗教関係者も含む多数が当局に身柄を拘束されたことは、「反体制派に対する抑圧キャンペーン」だといわれる。
「政治的動機からと思われる逮捕は、ムハンマドが言論の自由と法の支配の推進に本気でない証拠だ」と、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの中東責任者サラ・リア・ウィットソンは指摘する。「政治的見解を理由に国民を投獄するなら、サウジアラビアの過激主義との闘いも単なる見せ掛けだ」
<本誌10月31日発売最新号掲載>
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