「ポテチショック」に学べ 異常気象のリスクヘッジに備える企業
農林水産省は、来年度の概算要求にじゃがいも農家支援のための予算約30億円を計上。農作業の効率化などで増産につなげ、ポテチショックの再発防止に乗り出す。
リンガーハットではこれまでも食材については複数の産地から、安定的に収穫できるようにしてきた。しかし、主役の野菜であるキャベツは年間約1万トンが必要。天候不順だった昨年は、やむを得ず、割高な調達も行ったという。
コーンのように、いまは北海道産だけに頼っている食材については「他の産地で取り組めないか調査中」(杉野氏)だ。コーンは収穫してから時間が経てば経つほど、甘みが薄れる。同社が使用する北海道産のコーンは、収穫から12時間以内に凍らせており「同様のスピードで対応できるところは、非常に限られている」ため、産地の分散化も簡単には進んでいない。
餃子の主要食材や麺料理の麺で国産小麦を使用している「王将」(王将フードサービス <9936.T>)は「現時点で食材の調達に支障は出ていないが、材料価格への影響は、今後出てくると思う」としたうえで、「調達先からの情報収集を重ね、早めに産地を変えるなどの対応を講じている」という。
天候不順は需要面にも影響
「天候は消費量に大きく関係している。梅雨入りした途端に梅雨が明けたような天気になり、梅雨明けと同時に梅雨入りしたような状況。天気に振り回されているが、われわれではどうしようもない」と、キリンホールディングス <2503.T>の磯崎功典社長は、今夏の天候不順にため息を漏らす。8月のビール類(ビール、発泡酒、新ジャンル)の販売数量は、サントリーを除く3社で6―7%減と落ち込んだ。 「今夏は猛暑」という事前予想に反し、関東で8月に40年ぶりの長雨記録となるなど、場所によっては「冷夏」と言える夏に終わり、需要予測が大きく狂わされた。
日本気象協会(東京都豊島区)は、2014年度から3年間、経済産業省の補助事業としてプロジェクトを進め、豆腐や冷やし中華のつゆ、飲料などの分野で、需要予測を示すことで、廃棄ロス減やCO2削減につなげてきた。
例えば、冷やし中華のつゆの場合、6―7月に需要が増加し、8―9月には減少、その後は廃棄になる。需要予測を使うことで、150ミリリットル入りは最終在庫を35%削減、360ミリリットル入りでは90%削減できたという。