最新記事

日本企業

「ポテチショック」に学べ 異常気象のリスクヘッジに備える企業

2017年10月5日(木)18時24分

農林水産省は、来年度の概算要求にじゃがいも農家支援のための予算約30億円を計上。農作業の効率化などで増産につなげ、ポテチショックの再発防止に乗り出す。

リンガーハットではこれまでも食材については複数の産地から、安定的に収穫できるようにしてきた。しかし、主役の野菜であるキャベツは年間約1万トンが必要。天候不順だった昨年は、やむを得ず、割高な調達も行ったという。

コーンのように、いまは北海道産だけに頼っている食材については「他の産地で取り組めないか調査中」(杉野氏)だ。コーンは収穫してから時間が経てば経つほど、甘みが薄れる。同社が使用する北海道産のコーンは、収穫から12時間以内に凍らせており「同様のスピードで対応できるところは、非常に限られている」ため、産地の分散化も簡単には進んでいない。

餃子の主要食材や麺料理の麺で国産小麦を使用している「王将」(王将フードサービス <9936.T>)は「現時点で食材の調達に支障は出ていないが、材料価格への影響は、今後出てくると思う」としたうえで、「調達先からの情報収集を重ね、早めに産地を変えるなどの対応を講じている」という。

天候不順は需要面にも影響

「天候は消費量に大きく関係している。梅雨入りした途端に梅雨が明けたような天気になり、梅雨明けと同時に梅雨入りしたような状況。天気に振り回されているが、われわれではどうしようもない」と、キリンホールディングス <2503.T>の磯崎功典社長は、今夏の天候不順にため息を漏らす。8月のビール類(ビール、発泡酒、新ジャンル)の販売数量は、サントリーを除く3社で6―7%減と落ち込んだ。 「今夏は猛暑」という事前予想に反し、関東で8月に40年ぶりの長雨記録となるなど、場所によっては「冷夏」と言える夏に終わり、需要予測が大きく狂わされた。

日本気象協会(東京都豊島区)は、2014年度から3年間、経済産業省の補助事業としてプロジェクトを進め、豆腐や冷やし中華のつゆ、飲料などの分野で、需要予測を示すことで、廃棄ロス減やCO2削減につなげてきた。

例えば、冷やし中華のつゆの場合、6―7月に需要が増加し、8―9月には減少、その後は廃棄になる。需要予測を使うことで、150ミリリットル入りは最終在庫を35%削減、360ミリリットル入りでは90%削減できたという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口の中」を公開した女性、命を救ったものとは?
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 5
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 8
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中