ツイートの影に隠れた「トランプ効果」 アメリカ社会に変化の兆し
役所を規制
トランプ政権は発足からの半年間で、前政権時代の規制措置800件余りを撤廃するか、導入を遅らせた。また個人の自由を最大限尊重するリバタリアン系のシンクタンク、コンペティティブ・エンタープライズ・インスティテュート(CEI)によると、既存の規制撤廃や延期を目的としたものも含む新たな規制の提案件数は、前年同期比で32%減少し、ジョージ・W・ブッシュ政権とビル・クリントン政権の最初の半年よりも少ない。
一方でトランプ氏は連邦政府機関に対して、新しい規制を1つ策定する場合は2つの既存規制廃止を義務付けるなどの制約を設定している。CEIの政策担当バイスプレジデント、ウェイン・クルース氏は「ロナルド・レーガン政権以降で最も大幅な規制撤廃の動きになっているのは間違いない。トランプ氏は今のところ、一般国民よりも役所を縛ろうという姿勢だ」と話した。
多くの企業経営者は、トランプ氏が経済活動を阻害していると自身でみなす政策を廃止する、という約束を果たそうとしていることに拍手を送っている。ただ、環境規制や労働者保護規制を減らすこうした動きは国民の健康や安全よりも企業利益を優先し、支援してくれた労働者層へのアピールにトランプ氏が掲げてきた公約とは完全に矛盾するとの批判もある。
実質的成果
トランプ氏は、法制化の手続きが滞っている問題のいくつかに関しても、自分の思うような方向に事態を進める手立てを見つけ出している。一例を挙げると、オバマケア改廃法案は議会を通過できなかったが、同氏が低所得層向け政府補助金支払いの削減をちらつかせたため、先行き不透明感から大手保険会社がいくつかの州の保険販売サイトから撤退するか、来年の保険料を大きく引き上げた。
また国境の壁建設計画も議会で審議が停滞しているものの、トランプ氏の強硬な発言が米国への不法入国抑制に効果を発揮したとみられる。1月に4万2000人を記録したメキシコとの国境で検挙された不法入国者数は6月がおよそ1万6000人で、63%も減少した。その後じりじりと増えているとはいえ、昨年の水準はなお下回っている。