誰がなるのか?――新チャイナ・セブン予測(6)
栗戦書はおそらく、王岐山のあとを継いで、中共中央紀律検査委員会書記に就任するのではないかと思われる。
但し、筆者が独自に得た情報と日本の毎日新聞の情報は内容的にほぼ一致しているが、中国大陸以外の海外中文メディアは違う。陳敏爾は新チャイナ・セブン入りしないだろうという分析が多く、まさに一中全会が始まってみないと、何とも分からない側面も否めない。
それ以外に新チャイナ・セブン入りするであろう人物としては、胡春華(広東省書記、政治局委員)、汪洋(国務院副総理、政治局委員)などが考えられる。ほかに韓正(上海市書記、政治局委員)、趙楽際(中共中央組織部部長、政治局委員)、劉奇保(中共中央書記処書記、政治局委員、中央宣伝部部長)などの名が挙がっている(なお、彼らのプロフィールはそれぞれ『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』のp.188~p.230に書いてある)。
これらも全て、一中全会における投票が終わらないと、何とも言えない。
全体的傾向として
党主席制度復活から集団指導体制撤廃に至るまで、さまざまな噂が湧いては消えた1年だったが、全体的傾向としては、ほぼ常識的な線に収まりつつあるのではないかと思う。違うのは10月16日にコラム「習近平思想を党規約に――新チャイナ・セブン予測(5)」に書いた「習近平思想」くらいのもので、後継者に関しても、これまで通り次期メンバーに委託する可能性が高い。
となれば、なおさらのこと、「権力闘争」ではなかったことになり、習近平はあくまでも腐敗により一党支配体制が崩壊するのを防ぎたかったことになる。筆者がくり返し書いてきたように、ラスト・エンペラーになりたくないという思いが習近平には一番強いものと考えられる。
また親日政府あるいは売国政府と呼ばれないようにするために、「反日」は絶対に揺るがないだろう。「反日デモ」が起きないのは、それが反政府デモになることを知っているので、反日デモが起きない程度まで、政府自身が反日の軸をぶらしてないということだと解釈すべきだ。建国に到るまでの中国共産党拡大の真相を覆い隠すために、反日の旗を降ろすことは絶対にない。
その上で、習近平思想に関するコラムで述べた「中華民族の偉大なる復興」への道は強化していくことだろう。北朝鮮問題を考えれば、軍をいっそう強化していくことも避けられない課題だ。中米新蜜月を維持しながら、これからの5年内にアメリカを追い越そうと考えている。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。