中国・北朝鮮「相互防衛」の誓いにもはや意味はない
中国にとって、この解釈変更は理にかなっていた。現に朝鮮半島の非核化を目指す6カ国協議は破綻し、北朝鮮は核兵器搭載可能なICBMの開発を進めていたからだ。
北朝鮮が先制攻撃をした場合、中国が支援を保証しないということは、理論的には北朝鮮に先制攻撃を思いとどまらせる効果がある。
同様に、北朝鮮が他の国から攻撃された場合は中国が介入することを韓国、日本、アメリカに確信させておけば、北朝鮮に対する米韓日同盟軍の攻撃を思いとどまらせることができる。つまり、解釈変更後はアメリカも北朝鮮も朝鮮半島で悲惨な戦争を仕掛けにくくなるはずだった。
しかし、中国の姿勢は想定外の結果ももたらした。金正恩(キム・ジョンウン)政権下で中国と北朝鮮の緊密な関係が急速に悪化する一方、金政権が強力かつ多彩な核兵器の開発を決断したという結果だ。
今は世界中の関心が北朝鮮のICBMに集まっている。だが北朝鮮は一連の強力な短距離、準中距離、中距離弾道ミサイルも保有し、金正恩はいつでも自分の都合で戦争を始められる。
そうであれば、数年前に中国が中朝友好条約第2条の解釈変更を突き付けたことが、いま私たちの直面している北朝鮮の脅威をもたらしたと言えるのかもしれない。
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From thediplomat.com