米証券取引委員会に不正アクセス 政界や市場に動揺広がる
9月20日、米証券取引委員会(SEC)が、適時開示情報システム「エドガー」に不正アクセスがあり、未公開情報がインサイダー取引に利用された恐れがあると公表したことを受けて、政界や市場に動揺が広がっている。写真はワシントンのSEC本部。2009年7月撮影(2017年 ロイター/Jim Bourg)
米証券取引委員会(SEC)が20日、適時開示情報システム「エドガー」に不正アクセスがあり、未公開情報がインサイダー取引に利用された恐れがあると公表したことを受けて、政界や市場に動揺が広がっている。
SECによると、不正アクセスは昨年発生。インサイダー取引に悪用されていた可能性が、先月になって判明したという。
SECは現在も調査を進めているが、不正アクセスのあった正確な時期や、具体的にどのような非公開情報が流出したかは、明らかにされていない。システムの脆弱(ぜいじゃく)性は「速やかに」修正したという。
SECを監督する下院小委員会のビル・ハイゼンガ委員長によると、SECのクレイトン委員長は20日午後、議会を「表敬訪問」し、不正アクセスについて説明。その後、不正アクセスの事実を公表した。
ハイゼンガ委員長は「極めて深刻な問題だ。規制当局として情報をどのように守るか、真剣に考える必要がある」と発言。
サイバー犯罪対策を重要課題の1つに掲げていたクレイトン委員長は、面目を失った格好だ。
全米投資家広報協会のゲイリー・ラブランシュ会長は「(会員企業は)衝撃を受け、失望している」とし、株価に異常な動きがなかったか、調査する方針を示した。
SECの委員は、不正アクセスの事実を最近まで知らされていなかったという。
今年、委員長代行を務めたマイケル・ピオワー委員(共和党)は「昨年不正アクセスがあったことを最近初めて知らされた」との声明を発表している。
上院銀行委員会で説明へ
クレイトン委員長は、今月26日に上院銀行委員会に出席し、不正アクセスについて説明する予定。
同委員会のマーク・ワーナー上院議員は、SECが不正アクセスの情報開示について、企業にどのような対応を義務付けているのかを聞いた上で、SEC自体の情報開示の問題を取り上げると説明している。