最新記事

北朝鮮

北朝鮮暴走に対する中国の見解――環球時報社説から

2017年9月19日(火)15時23分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

4.毎回、北朝鮮の核・ミサイル活動発生後に、国際社会は混乱や騒ぎを起こさず、足並みを揃えなければならない。大国の態度が乱れさえしなければ、北朝鮮の新たな核・ミサイル活動は、政治的には失敗したということになる。もし、北朝鮮が(国際社会を)刺激するごとに、毎回大国が乱れたとすれば、北朝鮮にとっては政治的に大成功を収めたことになる。

5.北朝鮮の核・ミサイル技術の間断ない発展によって、国際社会は複雑な局面をいかにしてコントロールしていくかという挑戦を受けている。肝心なのは二次災害を発生させないということだ。すなわち、北朝鮮がいくつの核弾頭弾道ミサイルを手にしようとも、それらを使用する勇気を持つことができないというところに北朝鮮を追い込み、東北アジアおよびアジア太平洋地域が戦乱に巻き込まれないようにすることが肝心なのである。

6.米韓はどんなことがあっても、北朝鮮を互いに恫喝する昔からのやり方から抜け出し、朝鮮半島の根本的な緊張の要素は何かを考えて、その問題解決に貢献しなければならない(筆者注:これは米韓が朝鮮戦争の休戦協定に違反していることが、朝鮮半島に緊張をもたらしている、もともとの根本的要素であることを指している)。もし、制裁が長期的な観点から効果を持ち得るとすれば、米韓が北朝鮮に対する軍事的圧力を増加させることは逆効果であって、この(国連安保理)制裁の効果を上げることに貢献しない。

韓国は今朝(15日)北朝鮮がミサイルを発射した後に、すぐさま二発の自国製の弾道ミサイルを発射した。

これはすなわち、北朝鮮のために「練習相手(専ら主力選手の実力を伸ばすためにその相手となって練習すること)」になってあげたことに等しいのではないのだろうか?

ソウルは本当に、こんなことによって平壌がその分だけ韓国を恐れるとでも思っているのだろうか?

7.米韓は北朝鮮と「罵り合い」をすべきではないし、また「互いに練習相手となって練習する」ようなこともすべきではない。やるべきは、国際社会と一体となって北朝鮮の理性的要素を探し出し、北朝鮮が新しい戦略に向かうように理性的に誘導していくことを、ともに成すべきことである。北朝鮮は孤立しており、国際社会が理性的な方法で対処すれば、北朝鮮もその分だけ、本の少しでも理性的になり得るだろう。それに反して、国際社会が極端な方法で対処すれば、北朝鮮はその分だけ極端になっていく。

環球時報社説の結論

社説は以下のように結んでいる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

貿易分断で世界成長抑制とインフレ高進の恐れ=シュナ

ビジネス

テスラの中国生産車、3月販売は前年比11.5%減 

ビジネス

訂正(発表者側の申し出)-ユニクロ、3月国内既存店

ワールド

ロシア、石油輸出施設の操業制限 ウクライナの攻撃で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中