中国は北への石油を止められるか?----習近平トランプ電話会談
少なくともロシアのプーチン大統領(以下、プーチン)は「制裁や圧力によって北朝鮮の核ミサイル開発を止めることは出来ない」「北朝鮮は、自国が攻撃されず安全だと思うまでは、核・ミサイル開発をやめないだろう」という主旨のことを何度も言っている。それはあたかも、アメリカのロシア包囲網を暗示しているように筆者には映る。
9月3日から4日にかけて中国の福建省アモイで開催されたBRICS(新興五ヵ国)ビジネスフォーラムの閉幕式のスピーチで、習近平は一言も北朝鮮に関して触れなかったのに対し、プーチンが上述のようなスピーチをしたのは示唆的である。
中国は北朝鮮問題に関してロシアと完全に一致して「双暫定」(そうざんてい)(北朝鮮もアメリカも、双方ともに暫時、軍事行動を停止し対話の席に着け)という意思で一致している。今年7月4日の中露共同宣言で宣言した。
したがって、習近平は議長国として北朝鮮問題に触れたくなかったが、ロシアのプーチンに頼んで、習近平の代わりに北朝鮮制裁に関して発言してもらったものと考えることができる。
実は今年4月13日、中国外交部のスポークスマン陸氏は、恒例の記者会見で記者からの「北朝鮮への石油を禁輸するか否か」という質問を受けて、おおむね以下のように答えている。
――これまでの朝鮮半島非核化の歴史を見れば分かるように、制裁に頼っていたのでは、いかなる効果も生み出せず、逆効果であることは歴然としている。北朝鮮がいくらかでも抑制したのは六者会談の時であり、核・ミサイル開発に猛進したのは対話が途絶えて圧力を強化した時だということは、皆さんもご存じのはずだ(引用ここまで)。
回答になっていないのだが、プーチンの発言と同じだということに注目しなければならない。習近平はトランプに直接は言わないが(米中の緊密さを表面上保つが)、どうせアメリカから敵対視されているロシアのプーチンなら、堂々と言ってくれるだろう。そう思っているであろう習近平の計算が目に浮かぶようだ。
中国は外交部のこの回答を言い続けるだろう。
それは北朝鮮が、崩壊が現実味を帯びたと感じたときに、必ず無差別にミサイルを発射しまくり、当然北京にも照準を当て、中国の一党支配体制が終焉を迎える危険性を回避したいからだと思う。また軍事的大国に成長しない北朝鮮という隣国が緩衝地帯でいてくれることも望んでいる。