いいかげんな中国検閲、英ケンブリッジ大への遮断リストで浮き彫り
1930年代の農村革命家についての論評は、誤ってリストに含まれたのではないかと、専門家は指摘する。
共産党支持の中国南部の農村に関するカマル・シール氏の本についての、厳しい内容だがおおむね無害な1991年の書評がブロックされた理由は、この村の名称がXinjiangであり、書名にそれが含まれていたためと思われる。
この村の漢字表記は、北西に2500キロ以上離れたイスラム教徒が多く住む新疆とは全く異なるが、英語表記は両方とも同じXinjiangで、区別がつかない。
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遮断リストを大まかに分析した英オックスフォード大博士課程に在籍するXu Xibai氏は、検閲担当者はチャイナ・クォータリーのデータベースで、タイトルや要旨にタブーの単語が含まれているものを短時間で検索したとみられる、とツイートした。
「検閲担当者はいくつかのキーワードを検索し、上役を喜ばせる長さのリストを作るのに必要なだけの論文や書評を選んだのだろう」と、Xu氏は分析。「実際に論文に目を通したり、論文リストを人の手でチェックするような手間はかけていない」
建国の父と称される毛沢東を擁護する内容の論文が遮断リストに含まれる一方、より批判的な内容のものは含まれていなかった。
また、検閲当局の網の目を逃れたセンシティブな話題もあった。
共産党は、経済政策の失敗で数百万人が飢え死にした1958─61年の「大躍進政策」に関する議論を厳しく管理している。検閲当局は、この話題についての本を禁止しているが、今回の遮断要請リストには含まれていなかった。
また、共産党への批判を歓迎すると表明し、実際に批判した人を後から処罰した1950年代の「百花斉放百家争鳴」政策についての論文なども、リストに含まれていなかった。