最新記事

アメリカ政治

トランプの止まない「口撃」、弾劾審議で孤立無援招く可能性

2017年8月19日(土)09時07分

8月17日、トランプ米大統領(写真)が共和党上院議員らへの攻撃をエスカレートさせている。仮に将来、大統領選へのロシアの介入を巡ってトランプ氏の弾劾手続きが始まった場合、上院に友人がいるかどうかが審判の行方を大きく左右しそうだ。15日、ニューヨークのトランプタワーで撮影(2017年 ロイター/Kevin Lamarque)

トランプ米大統領が共和党上院議員らへの攻撃をエスカレートさせている。仮に将来、大統領選へのロシアの介入を巡ってトランプ氏の弾劾手続きが始まった場合、上院に友人がいるかどうかが審判の行方を大きく左右しそうだ。

弾劾手続きが行われる際、中心的役割を果たすことになる上院司法委員会の共和党議員11人のうち、半数以上がこれまでトランプ氏との口論に巻き込まれている。

トランプ氏は17日朝にツイッターで、リンゼー・グラム上院議員の言動を「売名」呼ばわりし、ジェフ・フレーク上院議員についても「有害だ」と攻撃した。2人とも司法委員会のメンバーだ。

チャック・グラスリー司法委員長は11日、トランプ大統領は弾劾手続きの際に守ってくれる友人がいないのではないか、との質問に対し、「(トランプ氏は)人格攻撃を止めるべきだ」と答えた。グラスリー氏自身は、過去の誹謗中傷とは無関係に公平に審判を下す方針を示した。

議会でトランプ氏の更迭が真剣に議論されているわけではない。大統領選へのロシアの関与を巡る捜査をトランプ氏が妨害した疑惑で、下院民主党議員2人が弾劾決議案を提出したが、上下院ともに共和党が議席過半数を制しており、決議案への支持は集まらなかった。

米国の憲法では、下院がまず弾劾手続きを可決した後に上院に送られ、上院が陪審として嫌疑を審査する。上院で3分の2以上の賛成が得られれば有罪と判断され、大統領は罷免される。

下院による大統領の弾劾勧告はこれまで、1868年のジョンソン氏、1998年のクリントン氏の2例があるが、いずれも上院での有罪審判を免れた。ただ、ニクソン元大統領はウォーターゲート事件を巡って弾劾がほぼ確実視され、1974年に辞任した。

クリントン元大統領が弾劾手続きを受けた際、ホワイトハウスと議会の連絡役を務めたチャールズ・ブライアン氏によると、議会に友人がいることは役に立つ。友人がいなければ、議員からホワイトハウスへの情報提供が得られず、大統領への攻撃は勢いを増す一方になる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ソフトバンクG、オープンAIに追加出資 最大5.9

ワールド

ブラジル前大統領、ルペン氏公職追放を「左派的司法活

ワールド

中国軍、台湾周辺で陸海軍・ロケット部隊の合同演習

ビジネス

テスラ第1四半期納車台数は前年比マイナスか、競争激
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中