最新記事

韓国

あの〈抗日〉映画「軍艦島」が思わぬ失速 韓国で非難された3つの理由

2017年8月19日(土)14時00分
杉本あずみ(映画配給コーディネーター)


「軍艦島」を追い抜き今年の韓国映画界で最初の1,000万観客動員が確実となった「タクシー運転手」。ドイツ公共放送東京在住特派員であったドイツ人記者ユルゲン・ヒンツペーターがソウルからタクシーに乗って1980年の光州事件を取材した実話を描いた作品。 SHOWBOX / YouTube

「タクシー運転手」は「軍艦島」同様、歴史上の事件を背景にして描かれたもので、こちらは1980年光州で起きた民主化運動を題材にしている。監督は「高地戦」「義兄弟」のジャン・フン。主人公は、こちらも韓国の人気俳優ソン・ガンホ。観客動員数は、すでに「軍艦島」を追い越して902万人(8月15日 韓国映画振興委員会発表数)を動員しており、8月3週目の週末には1000万人越えの予想が出ている(編集部注:「タクシー運転手」は8月20日の日中に38万9582人を動員、累計1035万3187人を動員した)。

「軍艦島」と「タクシー運転手」の観客動員数の推移

今回の「軍艦島」は、CJエンターテインメントの製作・配給作品である。CJエンターテインメントと言えば、朴槿恵政権時に文化体育観光部(日本の文化庁に相当)からブラックリストに入れられ、「国際市場で逢いましょう」「仁川上陸作戦」といった国威発揚路線に方向転換した経緯がある。

今回も保守派寄りの大作映画を作ったにも拘らず、内容に対しては、予想に反してサポーターだと思っていたその保守派層から批判を受けることとなった。その一方で現在の文在寅政権にぴったりともいえる、光州事件を扱った映画「タクシー運転手」が大ヒットしている。この夏の映画興行成績は現在の韓国の政治状況と合わせ鏡になったようにも見える。

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日本のインフレ率は2%で持続へ、成長リスクは下方に

ビジネス

三菱商事、26年3月期に最大1兆円の自社株買い 年

ワールド

韓国、関税巡り米当局者との協議模索 企業に緊急支援

ビジネス

トランプ関税で実効税率17%に、製造業「広範に混乱
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 9
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 10
    トランプ政権でついに「内ゲバ」が始まる...シグナル…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中